忙しそうに見えなくてはならない
会社側は生産性低下の原因をなくそうと、手段を模索している。そんななか調査結果が示唆することとして調査担当者が強調したのは、従業員が時間を浪費しているのは、「忙しそうに見えなくてはならない」というプレッシャーが要因だということだ。
従業員はあれこれ工夫を凝らして、「生産性が高い従業員」という錯覚をつくりあげ、それを維持している。実際、多くの従業員がオフィス勤務中よりリモート勤務中の方が時間を多く無駄にしている、と回答した。
調査結果を見ると、「頻繁に働いているフリをする」と認めた労働者は58%、「時おり働いているフリをする」と回答した労働者は34%だった。その理由として多く挙がったのは、実際に生産的であるよりも、忙しそうなフリをしなければならないというプレッシャーがあることだ。
レポートでは、「生産性の高い従業員」という錯覚をつくり出すためによく用いられているやり方が、リストアップされている。
・23%:ノートを手にもってオフィス内を歩き回り、忙しそうなフリをする。
・22%:パソコンにランダムな内容を入力して、仕事に没頭しているよう見せかける。
・15%:誰とも話をしていないのに、耳元に電話を当てる。
・15%:スプレッドシートを開いた状態で、仕事と無関係のウェブサイトを閲覧する。
・12%:実際の仕事を割り当てられるのを避けるために、ありもしない会議をスケジュールに入れる。
・時間を浪費する傾向は、オフィス勤務中(37%)より在宅勤務中(43%)の方が少し高い。
調査担当者の説明によると、こうした行動が生じるのは、期待とエンゲージメントのあいだに大きなギャップがあるからだ。最悪だと感じるかもしれないが、まだ先がある。この調査では、「勤務時間中に転職活動をしたことがある」と明かした従業員が驚くほど多かったことがわかった。
勤務時間中に転職活動
調査結果で最も衝撃的と言えるのは、働いているフリをしている従業員による、時間つぶしのための行動だ。「勤務時間中に職探しをしたことがある」ことを認めた人は92%に上った。勤務時間中に「頻繁に職探しをする」人は55%、「時おり職探しをする」人は37%だった。
勤務時間中に行う転職活動の中でも最も大胆なのは「履歴書の書き換え」で、仕事をしているフリをしたことがある人のうち24%がそう回答した。また、「職場のパソコンを使ってほかの仕事に応募したことがある」人は23%、「オフィスで、リクルーターからかかってきた電話に出たことがある」人は20%、「勤務時間中に抜け出して面接に行ったことがある」人は19%だった。
レジュメ・ナウのキャリア専門家キース・スペンサーは、仕事をしているフリをするのは、コミュニケーション不足と燃え尽きの兆候だと考えている。「多くの従業員は実際に生産的に仕事をするより、むしろ忙しそうに見えなくてはいけない、というプレッシャーを感じている」とスペンサーは話す。
「企業は従業員の監視に力を入れるより、むしろ従業員が生産的に働くフリをしなくてはならないと考えている理由を探る必要がある。そして、非生産的な会議やコミュニケーションの欠如といった根本的な問題の解決を目指すべきだ」


