キャリア

2025.06.05 11:30

静かな退職の次は「静かな崩壊」 社員の生産性を低下させる7つの要因とその対処法

Tirachard Kumtanom / Shutterstock.com

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いまや労働者の半数以上は、「静かな崩壊(quiet cracking)」を経験している。静かな崩壊とは、労働者がひそかに勤労意欲を低下させ、生産性がむしばまれている状況を意味する。

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「静かな退職(quiet quitting)」は、労働者が意図的に境界線を引き、必要最小限の仕事しかしない現象だが、静かな崩壊は職場での不満の表われであり、それが徐々に積み重なると、業績や生産性の低下、さらには離職につながる。

TalentLMS(タレントLMS:クラウドベースの学習管理システム)を提供するEpignosis(エピグノシス)社の調査によれば、雇用されて働く人の54%は、雇用主との関係が静かな崩壊状態にあると述べ、5人に1人は頻繁にそれを経験しているという。この現象は率先して働く意欲を損ない、予期せぬ離職を助長する。というのも、重大なダメージが生じるまで気づかれない場合が多いからだ。

以下では、生産性を損なう「静かな崩壊」招く7つの要因と、リーダーがそれにどう対処できるかを説明していこう。

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1. 研修不足から生じる不安

前述の調査によれば、過去1年で研修を受けていない労働者は、自分の仕事に関して不安をもつ可能性が140%も高くなるという。この不安は、新たな職責を担うことをためらう、アイデアを出したがらない、やりがいのあるプロジェクトを避けるといった行動として現れる。

解決策:

・役職に特化した継続的な学習プログラムを組織して、静かな崩壊を阻止する。そうしたプログラムでは「スキルギャップ」に対処し、チームが日常的に使う具体的なツールやプロセスに重点を置く。

・新しいツールやAI機能に関するモジュール形式のマイクロラーニング(15~20分)を実施し、忙しいスケジュールを尊重しながら重要なスキルを構築する。

・達成率を追跡し、学習目標と業績目標を結びつけて、スキル開発が生産性向上とキャリア発展につながることがわかるようにする。

2. 役割の曖昧さと、はっきりしない期待

データの示すところによれば、AIを活用する職場では、労働者の15%が自分の役割を明確に理解していないという。こうした曖昧さは静かな崩壊の温床になる。というのも、進むべき方向がはっきりわかっていない労働者は、ごくなじみのあるタスクだけをこなす一方で、生産性を高める可能性のある、貴重な新しい職責を避けるからだ。

解決策:

・ツールやプロセスの変更に応じて職務記述書を定期的に更新し、新技術の導入時にそれぞれの役職がどう変化するかを明確にする。

・「役割を明確にすること」だけを焦点とする面談を四半期ごとに実施し、期待されることと職責に関して相互理解に重点を置く。

・新たなワークフローの明快なプロセスマップを公開し、大きなシステムのなかに個人の貢献がどう収まるかを視覚的に示す。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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