3. 職場管理のまずさに起因する過負荷
前述の調査では、技術変革期の仕事量が手に余ると述べる人が29%に上った。こうした過負荷は、静かな崩壊の直接の原因になる。適切なリソースやサポートのない状況で、手に余る要求と永続的に向きあっていると、最も献身的なチームメンバーでさえいずれは燃え尽きてしまう。
解決策:
・定期的な検証を実施し、価値の低い仕事を特定して排除する。重要な目的や生産性目標に寄与しない活動は、容赦なく排除、自動化、もしくは委託する。
・ミーティングのない「集中の日」を導入し、持続的な注意力を求められる複雑なプロジェクトに没頭できるようにする。
・キャパシティプランニング・ツールを使ってチーム全体の仕事量のバランスをとり、燃え尽きる前に仕事の配分を改める。
4. 孤立とサポート不足
静かな崩壊に関する最初の目に見えるサインは、共同作業の減少や、チーム内のやりとりからの離脱として現れるケースが多い。そうした孤立は、危険なフィードバックループを生む。人とのつながりが薄いと感じる労働者は、活動に参加することが少なくなり、それが孤立感を強め、生産性を着実にむしばんでいくからだ。
解決策:
・プロジェクトの話し合いに加えて、ウェルビーイングにフォーカスした1対1のミーティングを週に1回設定する。それぞれが直面する課題や、生産性を保つために必要なサポートをめぐる質問から始める。
・組織的なつながりの機会を生むピア・メンタリングやバディプログラムを立ち上げ、静かな崩壊が起きる前に、問題を安心して話し合える場を提供する。
・チームメンバーが互いの貢献を認め合えるよう、小さな達成や賞賛をいつでも書き込める非同期チャネルを設ける。そのようにしてつながりを強めることで、静かな崩壊を防ぎ、生産性を高める。
5. AIをめぐる不安と混乱
米・独立系調査研究機関のPew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)による最近の調査では、「職場における将来的なAIの影響を不安に思っている」と答えた労働者は半数を超え(52%)、長期的には自分の雇用機会の減少につながると考える人も32%に上った。こうした不安は、新しいツールを採用したがらない、AIへの依存度を高くする可能性のあるスキルアップの機会を避ける、不可欠と思われる知識をあえて隠す、常習的欠勤の増加というかたちで現れる。
解決策:
・全従業員向けのAIリテラシーセッションを導入し、わかりやすい言葉でテクノロジーを説明する。専門技術ではなく理解に重きを置き、静かな崩壊の原因になる不安を和らげるようにする。
・現在の職責に関する今後の変化や、AIが職を脅かすのではなく生産性を高めることを示す詳細なマップを通じて、自動化されるタスクや拡張されるタスクに関する透明性を保つ。
・AIワークフローを共同で設計する試験的プロジェクトに従業員を参加させ、現実に即した理解や技術の習得を支援する。


