欧州

2025.06.02 16:00

ロシアが東部チャシウヤールで攻撃激化 「儀仗兵部隊」も投入、戦争やめる気配なし

クレムリン(ロシア大統領府)の壁近くで行進する大統領連隊の儀仗兵。2022年6月、モスクワ(Oleg Elkov / Shutterstock.com)

市街地では装甲車両の有効性が限られるだけになおさらである。市街地戦では、装甲部隊は往々にして狭い通りに誘導され、上方からの攻撃に対して脆弱になる。ロシア軍は貴重な装甲車両をかなりの数失うことになると予想される。それでも装甲車両の使用が必要になっているのは、より軽量の車両がウクライナ軍のドローンによって素早く破壊されるからだろう。

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ロシア軍は戦術的な優位を得るために、チャシウヤールに新たな技術も投入している。ウクライナ側がソーシャルメディアに投稿した動画には、自軍のドローンがロシア軍のドローンを追跡し、破壊している様子が映っているが、これらのドローンは新型とみられ、ウクライナ側のジャミング(電波妨害)を克服できる機能を備えている可能性が高い。

さらに、ウクライナ側はロシア軍の各種無人戦闘車両を捉えた映像も共有している。これらの車両は市内のロシア軍部隊への補給を担っているとみられ、やはりウクライナ軍のドローンによって狙われ、破壊されている。

チャシウヤールの戦いが持つ意味

チャシウヤールの攻略はロシアの戦争努力にとって非常に重要だとはいえ、長期的な戦略的価値には乏しい。チャシウヤールはマリウポリやバフムート、ヘルソンのような象徴的もしくは経済的に重要な都市と異なり、その占領がロシアによる侵攻の全体的な目的の一部であるようには思えない。むしろ、チャシウヤールは要塞化された防御拠点として、ロシア軍がドネツク州でコスチャンティニウカ、クラマトルシク、スロビャンシクといった都市に向けて、さらに深く前進するのを阻む存在となっている。

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ロシア軍が人員や装備、先進技術を代償にチャシウヤールを奪い取ろうとしていることは、ロシア軍が近いうちに和平が訪れるとは見込んでいないことを示している。それどころか、夏季攻勢に向けた下準備をしているようにすらみえる。ロシア軍はおそらく、少なくともこの夏の間は戦闘が継続すると想定しているのだろう。

ロシアの長期的な目的は依然として不明確だが、ロシア軍がチャシウヤールでの作戦を激化させているのは明白である。他方、ウクライナ側の狙いは単純明快である。ロシアによるチャシウヤールの完全掌握を阻み、ロシア軍に長期にわたり、大きな損害を伴う市街戦を続けさせるというものである。この戦法はロシアに貴重な人員と装備の消耗を強いるだろうし、将来の交渉に先立ってロシア側の戦意を削ぎ、ウクライナ側の立場を強める可能性もある。

チャシウヤールの戦いの帰趨はこの戦争の次の段階を形づくるだけでなく、将来の和平の条件にも影響を与えるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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