小幅な上昇の評価額は「市場全体の健全な修正の結果だ」
カリフォルニア州レッドウッドシティに拠点を置くシュノーケルAIは5月29日、ニューヨークのベンチャーキャピタルAdditionが主導したシリーズDラウンドで1億ドル(約142億円。1ドル=142円換算)を調達し、評価額が13億ドル(約1846億円)に達したと発表した。同社の評価額は、2021年のラウンドにおける10億ドル(約1420億円)から約30%という小幅な上昇となっている。同社の成長が投資家の期待を下回ったことを示している可能性もあるが、ラトナーは「市場全体の健全な修正の結果だ」と述べた。シュノーケルAIは収益を開示していない。
ラトナーによれば、ある大手通信会社の顧客サポートチームは、シュノーケルAIのツールを使ってチャットボットの評価とファインチューニングを行い、請求に関する質問への回答や予約のスケジューリングに対応できるようにした。米国の大手銀行3行のうち1行の融資担当者は、法人顧客に関する質問に答えるAIシステムの訓練に同社ツールを活用し、精度を25%から93%に向上させた。また、人手も時間も不足していたAIスタートアップRoxでは、営業担当者向けAIシステムの評価を支援し、精度を10〜12%向上させたという。
多くの競合の影に埋もれた上、市場規模が縮小
この動きは、2019年にスタンフォード大学のAIラボからスピンアウトし、専門家が大量の画像やテキストを分類するためのツールで注目を集めたシュノーケルAIの方向転換といえる。これは、2022年のChatGPTの登場以降、データラベリング分野にはより多くの企業が殺到し、同社は規模が大きな競合の影に埋もれたためだ。
例えば、データラベリングと評価サービスを提供する競合のScale AI(スケールAI)は現在、250億ドル(約3.6兆円)の評価額で株式売却を進めていると報じられており、同社の評価額は1年前の138億ドル(約2兆円)の2倍近くに上昇した。シュノーケルAIの他の競合には、2021年以降に評価額を22億ドル(約3124億円)に倍増させたTuring(チューリング)や、外部からの資金をほとんど調達せずに2024年に1億3400万ドル(約190億円)の収益を上げたInvisible Technologies(インビジブルテクノロジーズ)などが挙げられる。
またシュノーケルAIは、ChatGPTが生み出した別の課題にも直面した。ChatGPTのような汎用AIモデルの性能が向上するにつれ、無料かつ大規模にラベリングできるようになり、市場規模が縮小したのだ。シュノーケルAIとのパイロット運用を一時停止した企業も現れたという。そのためラトナーも、シュノーケルAIの成長が一時的に鈍化したことを認めている。ただし、同社の事業は2023年には回復し、それ以降は成長していると述べた。


