キャリア

2025.06.03 08:00

「過労死」は日本だけの問題ではない、求められる「人間中心の人材戦略」

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仕事の要求に応えるために自分の幸福を犠牲にすることが習慣化されてしまえば、最高の自分を保つことは難しい。自己犠牲は名誉の証ではなく、死刑宣告なのだ。セルフケアは、仕事により多くのものを捧げるための準備となる。自分を第一に考えることで、より多くの力を取り戻すことができ、より健康に、より長く働くことができる。

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Z世代は、仕事の柔軟性とワークライフバランスの向上を提唱し、「マイクロシフト」や「マイクロリタイア」と呼ばれる行動の最前線にいる。「マイクロリタイアの台頭は、より深いライフスタイルの変化を反映しており、人と仕事の関係が進化し続けていることを示唆しています」とSHLのシニアコンサルタントを務めるマレ・ベスター博士は話す。「伝統的な仕事とキャリアのモデルが、もはやすべての人にフィットしなくなった世界で、人々は優先順位のバランスを取り戻すための休息を求めています。企業にとって、この傾向は不安なものですが、より柔軟で、人間を中心に据えた人材戦略への扉を開くものでもあります」

リーダーが従業員に対し、心のリラックスを奨励することは極めて重要だ。従業員の半数近く(47%)が、企業が個人の休暇を尊重することがワークライフバランスの改善に最も貢献すると回答している。また、従業員の半数(51%)が、燃え尽き症候群を緩和する最も効果的な方法は有給休暇を増やすことだと答えており、セルフケアプログラム(47%)、在宅勤務の選択肢(43%)がそれに続いている。

過労死につながる集団的妄想

米国企業には、「ウェルネス」という言葉を再定義することが求められている。それは、成功のために従業員が燃え尽きたり、人生を賭けて過労死したりすることが名誉だという集団的妄想を変えることから始まる。

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より多くの組織が集団的妄想を捨て去り、より多くの従業員が職場に健康な心と身体と精神をもたらすための自らの役割を果たすようになれば、持続可能なキャリアと会社の収益が保証されることになる。

結局のところ、過労死の防止とは健康的なワークライフバランスを見つけることであり、利益対人間性といった問題ではない。そして、不健康な働き方、残業の要求、非効率的な会議などの悪習慣を大幅に変えない限り、2025年においても、健康的なワークライフバランスを見つけることは難しい問題となるだろう。企業にとって課題は、生産性と収益性を人間性や心身の健康と調和させるような職場文化を創造することだ。結局のところ、それは企業にとっても得につながることなのだ。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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