英国の野党「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ党首は、同党が政権を取った場合に英国を暗号資産大国へと変貌させる計画を発表した。
ファラージは5月29日に米ラスベガスで開催されたカンファレンス「ビットコイン2025」の壇上で、「我々は英国で暗号資産革命を起こす」と宣言した。彼はまた、「ロンドンを世界の主要な取引拠点の一つにする。本気でやるつもりだ。これがその証拠だ」と語り、リフォームUKが策定した「暗号資産およびデジタル金融法案」のコピーを掲げた。
英国政府は、現状で暗号資産への投資から得られた所得に対するキャピタルゲイン課税の税率を24%としているが、同党の法案にはこれを10%に引き下げることが盛り込まれている。さらに、イングランド銀行に対してビットコインによる準備金を創設することを義務づけるとともに、銀行が暗号資産やデジタル商品を取引する個人の口座を閉鎖することを禁じる内容が含まれている。
ファラージはまた、リフォームUKが今後、暗号資産による政治献金を受け入れると発表した。彼のこの発表は、ビットコインの価格が史上最高値の11万2000ドル近くを記録してから1週間余りのタイミングで行われた。現在の価格は、そこからやや下落しているが、年初来で約13%高となっている。
ファラージは、英国が暗号資産分野で後れを取っていると指摘した。彼によると、暗号資産を保有する英国人の数は700万人に達しており、30歳未満の4人に1人が投資を行っているという。「それにもかかわらず、時代遅れの労働党と保守党の政府は、この分野で何もしてこなかった」と彼は英国政府を批判した。
英財務省は、ファラージの発言に対する直接的なコメントを避けたが、レイチェル・リーブス財務相が4月末に発表した暗号資産の規制に関する草案で、この分野に対する最適なアプローチを模索していることを指摘した。
今回の規制草案は、暗号資産に関与する企業に既存の金融規制を拡張する内容で、不正行為を取り締まるとともに、正当なイノベーションを支援することを目指している。
「英国に顧客を持つ暗号資産企業は、伝統的な金融機関と同様に透明性や消費者保護、業務の安定性についての明確な基準を満たす必要がある」とリーブス財務相は、この草案の発表にあたって述べていた。



