北米

2025.06.02 11:30

DOGE離脱のイーロン・マスク、「すべての責任を負わされたくない」と発言

2025年5月30日、ホワイトハウスを訪れたイーロン・マスク(Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

2025年5月30日、ホワイトハウスを訪れたイーロン・マスク(Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

先週末に政府の正式な職務を離れたイーロン・マスクは、CBSニュースのインタビューで、自身が率いた政府効率化省(DOGE)に向けられた批判が「不当だ」と述べて、「この政権がやっているすべてのことの責任を取りたくはない」と語った。

私は失望している

6月1日のCBSニュースのインタビューで、マスクはDOGEに向けられた「不当な」批判について率直に語った。

「それが実際に起こったものであれ、想像上のものであれ、コスト削減があればすべてDOGEのせいにされている」とマスクは語った。

彼はまた、政権の取り組み全般についても言及し、「私は政権がやることのすべてに賛成しているわけではない。多くのことには賛成しているが、意見が異なる部分もある」と述べた。

マスクはさらに、「政権のすべての取り組みの責任を負いたくはない」としつつ、「意見の相違を公にすれば摩擦のもとになる」として、「ちょっと厄介なことになっている」と語った。

CBSニュースは27日、マスクへのインタビューの抜粋を公開した。マスクは、トランプ大統領が議会で推進している予算調整法案の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル (大きく美しい法案)」を批判し、「この法案は、財政赤字を減らすどころか、むしろ増加させ、DOGEチームの活動を阻害する。私は失望している」と述べていた。彼のこの発言はすぐに注目を集め、その翌日にマスクは政権の職務を離れたことを認めた。

マスクは昨年7月13日に、選挙演説中のトランプが銃撃を受けた直後にトランプへの支持を表明し、2億ドル(約290億円)以上を投じたメガドナー(巨額献金者)となって彼の政権の誕生を後押しした。

トランプは、11月の大統領選で再選を果たした後に、マスクをDOGEのトップに任命した。マスクが率いたDOGEは、数十万人の連邦職員の解雇を実施して、超党派からの批判を受けたほか、現在も継続中の複数の訴訟も引き起こした。一方、トランプはDOGEの取り組みをたびたび称賛しており、30日にマスクと開いた共同記者会見で、「DOGEが主導した大規模な改革」に感謝の意を示し、今後もマスクが政府に貢献し続けるだろうと語った。

「私は今後もここを訪れて、大統領の友人であり助言者であり続ける」とマスクは30日の共同記者会見で述べていた。

トランプは「全部でたらめなんじゃないか?」と疑問視

マスクは当初、DOGEの取り組みを通じて2兆ドル(約286兆円)の連邦支出を削減すると述べていたが、後にこの目標を1兆ドル(約143兆円)に引き下げた。DOGEのウェブサイトでは、これまでに約1750億ドル(約25兆円)の削減を達成したとされているが、ニューヨーク・タイムズによれば、契約の重複カウントや、「数百万ドル」(数億円)を「数十億ドル」(数千億円)と誤記するなどの誤りが頻出しているという。CNNの記者は先日、DOGEサイト上の数字のうち、文書で裏付けられているのは半分未満だと伝えた。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が31日に報じたところによると、トランプはマスクとDOGEが提示した削減額を実際に達成できるかどうかについて、内々で疑問を呈していたという。政権内の匿名関係者は、トランプが「全部でたらめなんじゃないか?」と発言し、本当に1兆ドル(約143兆円)もの支出削減が可能かどうかを疑問視していたとWSJにコメントした。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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