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2025.06.01 17:00

自他の選択を分析する「ゲーム理論」をビジネスの現場で活かす3つの方法

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ゲーム理論は実に良い視点だが、他の視点と同様に、正しい意図のもとに控えめに使うべきだろう。本当に重要なことを選び、自分のキャリアにゲーム理論をどう応用するか興味があるなら、明晰さや共感、方針を持って臨もう。ゲームを支配するためではなくゲームを理解し、誰もが恩恵を受けるよう、自分の能力を最大限に発揮するために使おう。以下、「ゲーム理論」を仕事で活用する3つの方法だ。

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1. 自分の能力を確立し、他の人の能力も推測する

仕事至上主義の文化では「懸命に働くのではなく、スマートに働け」という言葉をよく耳にする。理にかなっているように思えるが、優秀な人が多い職場ではこれはかなり物事を単純化しすぎた、おこがましいアプローチだ。

この言葉には、他の人が賢く働いていない、あるいは賢く働く能力がないという意味合いが含まれているかもしれない。だが、利害が現実に存在し、意思決定が影響力を持つような業績の高いチームにおいてはほとんどの人が賢い。大半があらゆる状況に応じる能力を持っている。ということは、「賢く働く」ことで優位を保てるのはみんなに追いつかれるまでの間だけだ。その後に残された唯一の優位性は、一貫した質の高い生産、つまり俗にいうハードワークだ。

ゲーム理論の視点から見れば、この種のハードワークは本質的に勝率を高める。一貫して目に見える形で約束した以上の成果を出すことで、確率曲線はあなたに有利な方向に曲がる。無視できない存在、あるいは高い価値を持つ存在になる。理想はその両方を目指すことだ。

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そしてここからが本番だ。他の人の能力を推測するのだ。複数人でプレイするほとんどのゲーム、特にオンラインゲームでは、対戦相手の能力を予想するために自分のプレーの質を上げざるを得なくなる。これにより期待値が上がり、ゲームの内容も向上する。そして自分の行動の結果を過小評価するというわなに陥る事態を避けることができる。

チェスを考えてみるといい。トーナメントプレーヤーを対象とした大規模な研究では、正式なコーチングやトーナメント経験よりも、腰を据えた独学の方が良い成績につながることが示された。

グランドマスターは真剣勝負を始めてからの10年間で、平均して5000時間近く計画的に勉強していた。これは中級者の約5倍だ。これこそがグランドマスター同士の勝負で互いに相手を過小評価しない理由だ。

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翻訳=溝口慈子

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