一方、エクアドルのあるカカオ農園主は、カカオポッドのこれまで利用されていなかった部分を消費できる製品にしようと、ロジスティクスと加工に取り組んでいた。カカオ産業は常に深刻な害虫問題、特に植物の病気の問題にさらされてきた。1965年にCCN51というカカオの新しい品種が開発された。この品種は3つの主要な病害に耐性があり、収穫量は従来品種の4倍だ。CCN51の登場で数カ国のカカオ産業が活性化した。CCN51から作られるチョコレートの品質については賛否両論があるが、発酵段階の細かな手順やブレンドで対処することができる。その他の品種には大きな付加価値はないため、CCN51は明らかに生産者にとって最も魅力的な選択肢だ。
収穫されたカカオポッドを完全に利用するために、この農園は収穫や管理、冷蔵、一時保管(いくつかの工程で6日間)、細かな加工、そして果肉と果皮を利用するための瓶詰め/包装ラインの新たな手順と設備に取り組まなければならなかった。農園は「カカオ・ワイナリー」と呼ばれてもよさそうな施設にするのに多額の資金を投じた。
ブルー・ストライプは当初、冷凍の原料をエクアドルから調達していたため、同社と前述の農園は互いの存在を知ることになった。そうして、生産からマーケティングまでのパートナーシップの締結に至った。
ポッドが収穫されると、豆は果肉から取り出される。その後、果肉を圧搾・低温殺菌してできるのが斬新な酸味のある液体、カカオウォーターだ。
果肉の固形物は「グミ」にしたり、アウトドア用栄養食のトレイルミックスに入れたりする。ポッドの繊維質の皮は粉砕され、パスタのような製品やパンなどの製造に使う粉になる。カカオポッドからできるこれらの製品はすべて、ミネラル(マグネシウムとカリウム)やビタミンB、C、D、強力な抗酸化物質、電解質、食物繊維をたっぷり含む「スーパーフード」だ。これらの栄養成分は多くの健康効果をもたらす可能性がある。
ブルー・ストライプは2022年にカカオを使った製品を発売し、全米のホールフーズで販売している。小売の売上は現在、年間1000万ドル(約14億円)を超えている。消費者の当初の反応からして、今後大きく成長する可能性がある。


