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2025.06.01 08:00

「回答」と「解答」の違いとは?意味と正しい使い分け、ビジネスシーンでの使い方を例文付きで徹底解説

「回答」「解答」の意味とは?

「回答」の意味

「回答」は、アンケートや問い合わせなど正解が一つに決まらない問いに返事を返す行為、またはその内容そのものを表します。「回」には「元へ戻す・返す」という語義があり、「尋ねられた内容を相手へ返す」イメージが語源的に裏付けられています。企業の顧客対応や社内稟議で頻繁に用いられるのは、まさに返答のニュアンスが強いからです。

たとえば「満額回答」「ゼロ回答」のような派生語は、要望に対する“返し方”の度合いを示す例であり、「回答」が幅広いバリエーションを含むことを物語っています。

「解答」の意味

一方の「解答」は、テスト・クイズ・技術検定など唯一の正解が設定された問題を解き明かし、その答えを示す場合に使います。「解」は「ほどく」「解き明かす」を表し、筋道を立てて結論へ到達するプロセスが語感に含まれています。

つまり「解答」は“解きほぐして得たゴール”に焦点が当たり、「回答」のように自由度の高いバリエーションは想定されません。ビジネスで見る頻度が低めなのも、正答がある試験・研修といった局面に限られるためです。


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「回答」と「解答」の違いを整理

正解の有無で区別

最短で覚えるなら「正解がある → 解答」「正解がない → 回答」。NHK放送文化研究所も同様の基準を提示しており、迷ったらまず「問題に唯一の正解が存在するか」を確認しましょう。

コミュニケーションか問題解決か

もう一つの視点は“目的”。返事や意思表示というキャッチボールなら「回答」、計算や論理展開を通じた問題解決なら「解答」です。ビジネスメールで「ご解答ください」と書くと、受信側は“テストを課せられたのか”と誤解しかねません。このニュアンスを押さえると誤用を大きく減らせます。

ビジネスシーンでの使い方

メール・チャットでの「回答」

社外から届いた資料照会や日程確認には「ご回答ありがとうございます」「下記に回答いたします」と書きます。ここでは受信者の事情や見解が複数あり得るため、回答が適切です。レスポンス期限を明記することで、より実務的な文面になります。

会議・プレゼン資料での「解答」

研修用のケーススタディや資格試験の模範例には「解答例」とタイトルを付けます。唯一の正解を示し、受講者の自己採点を促すためです。プロジェクト会議でロジックを検証する際、「この計算式の解答はA社の想定と一致しています」のように使うと、論拠の確かさが伝わります。

公式文書・契約関連

官公庁や取引先から届く調査票の返送も、自由記述なら「調査票への回答」。一方、建築認定試験の添付資料のように評価基準が数値で規定される場合は「技術試験の解答」の語を選びます。正解が用意されているかどうかを、文脈ごとにチェックするクセを付けると誤記を防げます。

例文で学ぶ使い分け

「回答」を使った例

  • お忙しいところ恐縮ですが、アンケートに回答のうえ6月14日までにご返送ください。
  • 先日の質疑に対する弊社の回答は、別紙PDFの通りです。

「解答」を使った例

  • 新人研修の小テストに解答し、結果をフィードバックシートに記入してください。
  • 電気工事士試験の解答速報を社内ポータルに掲載しました。

誤用パターン

×「お問い合わせに解答します」
→○「お問い合わせに回答します」
クレーム対応など正解が一つでない場面では「回答」を選びましょう。

類義語・関連語と英語表現

「回答」の類義語

返事・応答・答弁・レスポンスなどが該当します。状況に応じて口語なら「返事」、フォーマルなら「答弁」を選ぶと文体の整合性が高まります。

「解答」の類義語

解決策・解法・ソリューションなどが近い表現です。ビジネス文書では「ソリューション」が提案の意味を伴う場合も多いので、単に正答を示す場面では「解答例」と書き分けると誤解を避けられます。

英語表現

「回答」は reply / response、「解答」は answer / solution が典型です。契約交渉メールでは「Thank you for your prompt response.」、技術QAでは「The solution is described in the answer key.」と使い分けましょう。

使い分けチェックリスト

  1. 唯一の正解がある? → Yes: 解答 / No: 回答
  2. 目的は返事か? 解決か? → 返事=回答 / 解決=解答
  3. 読者は誰か? → 社外や上席には正式語を選択

この三段階で確認すれば、大半の文書で迷わず正しい漢字を選べます。


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まとめ

「回答」は返事・意向を返す語、「解答」は問題を解き正解を示す語──違いはシンプルですが、同音ゆえに混同されがちです。正解の有無とコミュニケーションの目的を意識しながら使い分ければ、ビジネス文章や資料の精度が上がり、読者の理解と信頼を同時に獲得できます。今日から実務に取り入れて、ことば選びの質をワンランクアップさせましょう。

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