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2025.06.01 13:00

心理学者が教える「いつも愚痴ばかり」の習慣を断ち切る3つの方法

Francesco Carta fotografo / Getty Images

1. 自分の感情を把握する

習慣化した愚痴には失望や恐れ、孤独といった深い感情が隠れていることが多い。「何もかもうまくいかない」「みんなまったく理解していない」といった言葉の根底には悲しみや不安があり、注意を向けられていないという思いすら潜んでいるかもしれない。やがて愚痴は習慣となる。お馴染みに感じたり、一時的にほっとしたりするために、脳は何度も繰り返すようになる。愚痴を言えば言うほど、自動化されていく。

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うつや社会不安症を抱える若者を対象に行われた2016年の研究で、自分の感情を認識して管理するのに苦労している人は、絶え間ない心配や熟考といった「反復的なネガティブ思考」を多く行っていることが明らかになった。こうした負のスパイラルは、気持ちの混乱や抑圧から生じていることが多い。

このパターンでは、気持ちが認識されなかったり処理されなかったりする場合は特にネガティブなサイクルから抜け出せなくなる。愚痴も同じで、愚痴を言うことでその場は落ち着いても、長期的には無力感を強めてしまうだけだ。

深呼吸をして「私は本当にどう感じているのか」と自問する

このような習慣を断ち切ることは必ずしも簡単ではないかもしれないが、それでもいい。一晩で反応型から内省型になれるわけではない。だが、次に愚痴を言いたくなったときに「パターン・インタラプト」を入れてみるといい。

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パターン・インタラプトとは、自動的あるいは習慣的な行動や思考パターンを断ち切るために使われるシンプルな手法だ。深く考えずに愚痴を言うなど、あるルーティンが染みついているとき、パターン・インタラプトは精神的な「一時停止ボタン」として機能し、異なる反応をする隙を生む。

例えば、気持ちを吐露するのではなく、愚痴をこぼしそうになっている自分に気づいたら、深呼吸をして「私は本当にどう感じているのか」と自問したり、物理的に環境を変えてみる(立ち上がる、ストレッチをする、立ち去るなど)。このわずかなインタラプトはいつもの自動的な反応を中断させ、健全な習慣を新たに作るのに役立つ。

要するに、古いパターンに支配される前にその瞬間の自分を意識的にとらえると、もっといい反応を選ぶよう行動をコントロールできる。

2. 不満を好奇心に変える

立ち止まって自分の感情に気づいたら、次のステップはその状況を別の視点から捉え直すことだ。

「このことから何を学べるか」「別の見方はないだろうか」

「なぜ私にこんなことが起こるのだろう」ではなく「このことから何を学べるか」「別の見方はないだろうか」と自問するといい。この転換は認知的再評価として知られており、感情への影響を変えるために状況の解釈の仕方を変えるという、よく研究された感情調整の戦略だ。

再評価と受容を比較した研究によると、感情的に辛いこと(例えば、悲しい映画を見るなど)に直面している時やその後に再評価を行うと、否定的な感情が減少し、肯定的な感情が目立って増加することが分かった。特に感情面での回復に有効だった。対照的に、受容は認知的な負荷は少ないが、感情面への影響は緩やかであることが分かった。

このため、次に愚痴を言いそうになったら、立ち止まって自分がどんな考えを繰り返しているのか、どうすればその見方を変えられるのかを自問してみよう。

愚痴はネガティブな思考パターンを一層ネガティブにすることが多く、前進するのが難しくなる。それとは対照的に、好奇心を持って困難なことに取り組むと開放性と学習が促され、ネガティブな思考パターンから抜け出す助けとなる。見方を変えると回復力が高まり、より建設的な方法で困難に対処する力が得られる。

次ページ > 3. コントロールできることに集中する

翻訳=溝口慈子

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