暗号資産

2025.05.30 13:00

米SECがバイナンスへの訴訟を取り下げ、トランプの暗号資産の上場直後に

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

米証券取引委員会(SEC)は5月29日、暗号資産取引所大手の「バイナンス」に対する訴訟を取り下げた。この訴訟取り下げは、トランプ米大統領の事業会社のひとつ、「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」が発行するステーブルコインが同取引所に上場してから数日後のこととなった。

WLFは22日、自社が発行する米ドルに連動するステーブルコイン「USD1」がバイナンスでの取引を開始したと発表していた。

暗号資産交換業で世界最大手のバイナンスは、2023年11月にマネーロンダリング(資金洗浄)防止規制に違反した罪を認め、43億ドル(約5760億円。1ドル=144円換算)の罰金を支払うことで米当局と合意していた。また創業者チャンポン・ジャオ(趙長鵬)も有罪を認めて5000万ドル(約72億円)の罰金を支払い、4カ月にわたり刑務所に収監されていた。

バイナンスは、その後もSECからの別の民事訴訟に直面していたが、ジャオは4月下旬にトランプ政権下の司法省にこの訴訟の取り下げを求めたことをポッドキャスト番組で明かしていた。

SECは29日、バイナンスに対する訴訟を自発的に取り下げた。この訴訟は、バイナンスおよびジャオが、取引量の人為的な水増しや顧客資金の流用、投資家への監視体制に関する誤解を招く説明を行ったとして非難するものだった。

WFLとバイナンスが、今回の訴訟の取り下げの求めについて話し合ったという証拠は確認できていない。しかし、トランプ政権下においては、トランプ大統領の暗号資産事業のパートナーが個人的な恩恵を受けた事例が他にも確認されている。

中国の暗号資産起業家のジャスティン・サンは、トランプ大統領の当選後にWFLのトークンに3000万ドル(約43億円)を投資したが、SECはその後、彼に対する訴訟の審理を一時停止するよう裁判所に要請した。

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編集=上田裕資

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