ドナルド・トランプ米大統領に近い実業家のイーロン・マスクは政権に加わって以降、政府機関を骨抜きにする試みが失敗に終わり、政府の役職を退任する意向を表明したが、人気は著しく低下している。各種世論調査から明らかになった。
マスクは28日、X(旧ツイッター)で、行政の無駄を省く新組織「政府効率化省(DOGE)」の役職を正式に退く意向を表明。「DOGEの使命は時間とともに強まる一方だ」と投稿した。この約1カ月前、マスクは政治献金を大幅に減らすと発言していた。また数日前には、トランプ大統領の看板施策を盛り込んだ法案について、連邦政府の赤字を増やすものだとして公に批判していた。
マスクは昨年7月13日、トランプ大統領候補(当時)が東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃を受けた日に同候補への支持を表明した。米統計学者ネイト・シルバーの報告によると、それ以降、マスクを支持する人の数は横ばいである一方、支持しない人の数が大幅に増加した。マスクの支持率は昨年7月中旬時点では41%だったが、DOGEの役職を退くと表明した翌日の5月29日には39%に後退。一方、不支持率は40%から54%へと上昇した。
米データ分析企業モーニングコンサルトが5月23~25日にかけて実施した、マスクに関する最新の世論調査では、回答者の40%が非常にまたはやや好意的に見ており、52%は非常にまたはやや好意的ではないと回答した。
マスクがDOGEで最も精力的に活動していた3月に実施された米CNNの世論調査では、回答者の大多数が、マスクにはトランプ大統領の連邦政府改革を実行する経験も能力もないと考えており、歳出削減が行き過ぎになるのではないかと懸念していることが示された。ただし、結果は回答者の支持政党によって大きく分かれた。
今後、誰がDOGEを率いるのかは分かっていない。マスクは事実上のトップだったが、トランプ政権は、医療業界での幹部経験があるエイミー・グリーソンがDOGEの実質的な管理者を務めていると説明している。だが、グリーソンは対外的な役割を担っておらず、DOGEの活動にどの程度関与しているかは不明だ。
マスクはトランプ政権時代に政府支出の削減に強硬な姿勢を取り、米国際開発庁(USAID)など一部の機関を完全に解体し、連邦政府全体で数万人に及ぶ職員を解雇した。それにもかかわらず、1兆ドル(約140兆円)の削減という目標には遠く及ばず、解雇の多くは裁判所によって覆されたり、誤りであったことが認められたりした。
フォーブスは、マスクの資産を4309億ドル(約62兆円)と見積もっている。マスクは昨年7月以降、当時のトランプ候補の大統領選挙運動に2億5000万ドル(約360億円)を寄付した。マスクはトランプ大統領の私邸、マールアラーゴでの週末や外遊にも同行し、時にはホワイトハウスで夜を過ごすなど、大統領の傍らに欠かせない存在となった。だが、トランプ大統領のマスクに対する親近感は共和党全体に広がることはなく、マスクが行った歳出削減について公に疑念を表明した共和党議員も多い。



