「反証する方が容易だ」という古い格言は、生命が存在する可能性のある太陽系近傍の系外惑星の特性を明らかにする上で極めて重要な役割を果たすかもしれない。地球に似た惑星を探すだけでも難しいのに、偽陽性に無駄な時間を費やすなら尚更ということだ。
学術誌Science Advancesに最近掲載された論文では、金星に似た地獄のような系外惑星の大気に含まれる二酸化硫黄(SO2)の検出を、現在知られている形態の生命と水の存在を否定する陰性の化学的指標(マーカー)として機能させることを提案している。
論文の筆頭執筆者で、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)の惑星科学者ショーン・ジョーダンは、オーストリア・ウィーンで開催された欧州地球科学連合(EGU)2025年総会の席上で取材に応じ、系外惑星の観測例全体を調査して、液体の表層水を持つ生命存在可能な惑星を特定するのは本当に困難だと語った。
だが、大気中のSO2を同定できれば、それは水の存在の否定的な兆候だと、ジョーダンは指摘する。これは、少なくとも現時点で観測対象の惑星は液体水が存在せず、生命探査に絶好の場所とは言えないことを示す明確な兆候だと、ジョーダンは続ける。
論文によると、今回の研究では、惑星の表層に水が存在しないことを利用し、系外惑星の検出例の中でハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内縁部の位置を示す地図を作成できることを明らかにした。表層水がないことは、水の存在とは対照的に、大気中の硫黄によって明確に明らかにすることが可能だという。太陽系の金星の場合、地球に比べて豊富なSO2が大気中に含まれているが、これは生命存在可能な惑星の大気からSO2が降雨によって排除されると予測されるからだと、論文は説明している。
また、この種の調査により、惑星天体物理学者は最終的に、太陽近傍にあるスペクトル型がM型の赤色矮星数十個の周囲のハビタブルゾーンの内縁を規定することが可能になるだろう。M型星は、質量がスペクトル型G型の太陽の質量の0.1~0.5倍程度だ。さらに、おそらく宇宙生物学にとって最も重要なのは、水素を燃焼する主系列星としての寿命が非常に長いことだろう。
最も一般的な恒星
赤色矮星は、銀河系で最も一般的な恒星および惑星系であるだけでなく、比較的小型の恒星なので主星に対する惑星の相対的な大きさ(サイズ比)がより大きくなるため、幾何学的な観点から好ましいと、ジョーダンは指摘する。これにより、惑星が主星の前を横切る(トランジット)間に得られる信号がより大きくなると、ジョーダンは説明している。
これまでの主な課題となっているのは、特定の恒星系のハビタブルゾーンを規定することだ。最も単純化した定義は、特定の地球型惑星の表面に液体の水が存在する可能性がある範囲とされる。
ジョーダンによると、M型赤色矮星を公転する惑星が大気を持ち続けることが可能かどうかについては不明なままだ。その理由は、強力な紫外線やX線放射によって大気が吹き飛ばされているからだという。



