2. 些細な決断をし続けること
あなたが無意識のうちにやってしまっているかもしれない、もうひとつの消耗癖は、一日に無数の小さな決断をし続けることだ。常に最良の結果を得ようとするあまり、私たちはしばしば比較的些細なことに貴重な精神的資源を浪費してしまう。
例えば、朝何を着るかを考えたり、出前アプリを延々とスクロールしたり、仕事中に聴くプレイリストを選ぶのに5分以上かけたりといったことがそれに当てはまる。このような一見些細な選択は、もっと意味のある物事に使うことができたはずの精神的エネルギーを、まとめて大量に消費することになる。
こうした小さな決断が積み重なると、研究者が「決断疲れ(decision fatigue)」と呼ぶ、時間が経つにつれて決断力が消耗していく心理状態になってしまう。
Journal of Health Psychology誌に掲載された研究によると、どんな小さな決断でも、それによって限られた精神的資源が消耗されていることが明らかになった。同研究では、研究者たちが7つの主要な研究データベースの文献をレビューし、概念分析を行った。
決断疲れは注意力、自制心、判断力を低下させる可能性があることが研究でわかっている。これは様々な場面で観察されており、裁判官が一日の後半であまり好ましくない判決を下したり、看護師や航空管制官のような専門家は、精神的に消耗すると認知能力が低下したりする。
分析によると、決断疲れは自制心と認知能力を低下させ、うっかりミスや論理的思考力の低下を引き起こすことが分かった。このことは、一日を通して何を着るか、何を食べるかなどの些細な決断をし続けることで、重要な仕事に取り組む前に精神的に疲労してしまう現象を説明している。
逆に言えばこの結果は、些細な決断を自動化したり単純化したりすることで、本当に重要なことのために精神的エネルギーを温存できることも意味している。
決断疲れを解消するひとつの方法は、特定の時間、例えば日曜日の夕方に、様々な物事をまとめて決断するための時間を確保することだ。例えば1週間分の服装を計画したり、週の献立をあらかじめ決めておいたり、テーマに沿ったプレイリストを前もって作ったりするのだ。
このような決断をまとめて行うことで、後で直面する選択肢の数を減らし、より重要な仕事や創造的な仕事のために精神的エネルギーを節約できる。これを習慣づければ、認知的な負荷を軽減するだけでなく、1日を通して集中力と生産性を高められる。


