だが、鳥たちが支配するニュージーランドの生態系は、繊細なバランスの上に成り立っており、永遠には続かなかった。どんなに屈強な捕食者でも、急激な生態系の変化に対しては時に無防備だ。そしてハーストイーグルの場合、こうした変化はヒトの上陸と共に一気に押し寄せた。
13世紀頃、ポリネシアの航海者たちがニュージーランドに到達した。彼らは島々に火やネズミやイヌをもたらし、やがて彼らの狩猟により生態系に破滅的な損失がもたらされた。それまで、ヒトのような捕食者に一度として遭遇したことがなかったモアは、2世紀と経ないうちに狩りつくされ、絶滅した。そして、それがハーストイーグルにとって致命傷となった。このワシが生き残れるかどうかは、ほぼ完全にモアの個体群に依存していたからだ。
主要な食料源を失ったハーストイーグルの個体数は激減し、15世紀半ばまでに、モアに続いて姿を消した。
興味深いことに、ハーストイーグルは先住民マオリの初期文化において重要な役割を担った。マオリの口頭伝承や古代の岩絵には、ポウアカイまたはホキオイと呼ばれる怪鳥が存在していることが知られている。ヒトを殺し、つかんで飛び去るほどの力をもつとされる巨鳥だ。
ハーストイーグルの巨体と怪力そして狩猟行動を考えれば、このような伝承はマオリの人々と絶滅する前のハーストイーグルの実際の遭遇に基づくものだろうと、多くの研究者が考えている。
かつて頂点捕食者だったこのワシの姿は、今では化石化した骨と伝承の形で残るのみだ。だが生物学者、人類学者、古生物学者はこうした証拠をつなぎ合わせて、ハーストイーグルの生態を解き明かしつつある。


