シニアのインサイトについて調査・分析を行う『生きかた上手研究所』が50~79歳の男女を対象に「終活に関する意識・実態調査」を行った。調査結果からは、終活が特別なものではなくなり、またその行為が“幸福感”につながっているということが見えてきた。
【調査概要】
調査方法:WEBアンケート
調査対象・有効回答者数:全国の男女50~79歳の2016名
調査実施日:2025年2月14日(金)~2月17日(月)
調査主体:株式会社ハルメク・エイジマーケティング 「ハルメク生きかた上手研究所」
※調査結果のパーセンテージは、小数点以下第2位を四捨五入したため、総数と内訳の合計が一致しないことがある。
終活している人ほど幸福度が高い
数年前から、人生の締めくくりに向けてエンディングノートを書いたり、相続の相談を専門家に尋ねたりなどの「終活」が話題となっている。しかし、終活という言葉が誕生したあたりは「一部の意識が高い年配者が行う活動」という、どことなく他人事のように感じていた人も多いかと思う。
ところが今回の調査で「終活」について尋ねたところ、「すでに終活を始めている」と回答した人は44.0%。「今後始める予定」の33.4%を上回り、終活はいまや日常的な行動として浸透していることが明らかになった。

特に注目すべきは、終活を始めた人ほど幸福度や生活満足度が高い傾向にある点だ。

何を持って満足なのか。調査の結果からは具体的なものは描かれていないが、しかし「自分の人生に自分で手を入れる」という感覚が、生活全体に良い影響を与えている可能性を示唆している。
もっとも多い終活は「年賀状じまい」
終活で実際に取り組まれた内容としてもっとも多かったのは「年賀状じまい」。ついで「お墓の準備」、「資産運用の開始」が続いた。一方、終活とは何かという認識としては、「金融口座・金融商品の整理」、「荷物の整理・処分」、「エンディングノートの記入」などが多く挙げられていた。

興味深いのは、「お墓の準備」よりも「墓じまい」をする人が上回ったことだ。“整える終活”から“手放す終活”へと、価値観が大きく変化していることもうかがえる。
一方、終活にかかった平均費用は約503万円。前回調査の約450万円から増加しており、「資産運用の開始」「自宅のリフォーム」「不動産の整理・処分」など、生活の基盤を見直すための費用が多くを占めた。さらに「死後にお金を残したい」と考える人が想定する平均金額は約2451万円だった。


こうしたデータから、終活は「死に備えるための行動」という従来のイメージを超えて、「これからの生き方を整えるための再設計」として進化しているといえる。
近年は「SNSやパソコン内のデータ整理」「インターネット登録情報の管理」など、“デジタル終活”の存在感も増している。物理的な整理と並行して、情報の断捨離が重要なテーマになっている点も見逃せない。

また、終活の必要性を感じている人は全体の77.4%と高いが、実際に行動に移している人は44.0%にとどまっていた。意識と行動の間にあるこのギャップは、「終活=死の準備」という先入観に起因している面があるのだろうか。
だが今回の調査が示すように、行動に移した人の方が幸福度も生活満足度も高いという結果には考えさせられるものがある。終活という行為は「今の暮らしを整えること」で自分の主導権を取り戻し、人生の質を高めるきっかけになっているのかもしれない。
出典元;「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」
プレスリリース



