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2025.05.28 09:00

石破首相が図らずも告げた「債務の時代」の到来 警鐘鳴らす債券市場

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財務相の経歴に関しては、数は少ないが興味深い研究がある。それによると、左派寄りの政権(オバマ政権のような?)は経済的な信頼性を高めるために経済学者を財務長官に選ぶことが多く、右派寄りの政権はこのポストに金融業界の出身者を選びがちだという。ドナルド・トランプ米大統領が起用した2人の財務長官、スティーブン・ムニューシン(元ゴールドマン・サックス幹部)とスコット・ベッセント(かつてジョージ・ソロスのもとで働いたこともあるヘッジファンドマネジャー)も、この傾向に当てはまる。

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ここでわざわざ財務相の履歴書を持ち出したのは、この先に困難な時代が待っており、そこでは政治的な勇気と政策的な見識が求められるからだ。とりわけ、トランプが財政赤字に狙いを定めている米国では、それらが強く求められるはずだ。残念ながら、トランプの主要な政策手段である関税をめぐる言動は、本人にどちらの資質も欠けていることを示している。

トランプは自身の予算調整法案(「一つの壮麗な法案」)を議会で押し通そうとしている(編集注:下院は22日に通過)。この法案には、銃の消音装置にかかる連邦物品税の廃止など、かなり不穏な項目も盛り込まれている。一方で、筆者も強く賛同する項目もひとつある。いわゆる「トランプ口座」の導入だ。これは、財務省が子ども向けに税優遇付きの貯蓄口座を創設し、1000ドル(約14万5000円)を初期入金として付与するというものである。これはぜひ欧州もやってほしい。

とはいえ、この予算案の骨格は、多くの米国人から彼らが最も必要としているもの、とりわけメディケイド(低所得者向け公的医療保険)を奪いかねないものになっているようだ。財政の観点からも懸念され、ペンシルベニア大学ウォートン校の経済分析プロジェクト「ペン・ウォートン予算モデル」や議会合同税制委員会をはじめ、さまざまな機関の予測では、この法案によって米国の財政赤字が向こう10年で3兆5000億ドル(約505兆円)近く増えるとみられている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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