起業家

2025.06.09 15:30

シン起業家たち「NEXT 100」 クリエイターの創造力が社会・経済を変える

「シビック・クリエイティブ」の流れも

このように日本経済を動かすクリエイターたちの“創造力”に期待がかかるなか、シビック・クリエイティブ(市民の創造性)の活用も進んでいる。

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東京都は22年、市民のクリエイティビティを社会に発揮することを目的に、渋谷にシビック・クリエイティブ・ベース東京【CCBT】を開設した。CCBTが目指すのは、「未来が多様に交錯し選択肢がある時代に、市民や世界中のクリエイター、企業が集まり東京の新しい風景を共に考えていくこと」。国内外のアーティスト、クリエイター、デザイナー、研究者、技術者、企業、文化機関、市民などと共創し、創造的な活動と未来に向けたアクションを実践している。

CCBTの創設にかかわったパノラマティクス主宰の齋藤精一は、その役割について次のように解説する。

「行政や自治体は、安全安心をつくるディベロッパー。デザイナーやアーティストは経済には直結しないクリエイター。CCBTはそのふたつをつなぐ存在です」

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市民一人ひとりのシビック・クリエイティブを、社会へのアクションにつなぐハブなのだ。市民には、「誰かがつくったものを消費するだけでなく、考え、創り、使う」ことが求められる。「終わらせ方もふくめて考えることが重要」と齋藤は言う。

「CCBTを約2年半運用してきて、多くのプロのクリエイターが社会との接点を求めていることもわかったので、シビック・クリエイティブを止めずに、30年60年と続けることでこの土地の血肉にしていきたい」(齋藤)。CCBTはこの活動を東京から全国、世界へと広げていく。これが「誰もがクリエイターになれる時代」の先にある未来かもしれない。

クリエイティビティが世界を救う

今回は、クリエイターエコノミーの拡張というボトムアップの動きから、官民が取り組む海外市場への挑戦、市民への期待まで、クリエイターを軸に近年の起業家像の拡張を生む環境の変化を見てきた。社会のなかでクリエイターの役割が大きくなっていることの背景には、生成AIの台頭があるのかもしれない。

「課題整理まで生成AIができるようになった今、人には何が残されているのか。それは問いを立てることである。問いを立てるといっても、すでにある正解を引き出すための問いではない。これから求められるのは、新しい価値を生み出すための問い。つまり、問いと創造性を組み合わせた“Questivity”を磨くことが大切になる」

24年末のForbes JAPANのインタビューで、データサイエンティストの宮田裕章はこう未来を占った。20年以降の生成AIによるデジタル革命によって新たな格差が生まれ、気候変動、経済的不平等、地政学的な分断など社会課題がますます複雑に絡み合うなか、新しい価値を生み出すための問いを立てる力、つまりクリエイティビティは世界を救うための武器になる。

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文=田中友梨、中山淳雄(3P)、川村真司(4P) イラストレーション=アンドリュー・ジョイス

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