マーケティング

2025.05.28 08:00

バズらないモノは存在しないのも同然、コンテンツを内製する米中小企業の実態

Shutterstock.com

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米国のスモールビジネスのオーナーたちは、「SNSでバズらないものは、世の中に存在していないのも同然」と気づき始めているようだ。

中小企業(SMB)向けのマーケティング支援を行うベライゾン・ビジネスは、調査会社モーニング・コンサルトと共同で「State of Small Business(中小企業の現状)」と題した調査を発表した。この調査は、レストランから建設業界まで幅広い業種について、従業員数500人以下の米国600社の経営者・意志決定者を対象に実施された。調査期間は2025年3月7日から22日。

5月20日に発表された同調査のレポートによると、中小企業の多くが「コンテンツの重要性」を理解しており、全体の62%以上が「過去1年間で独自のコンテンツの制作を始めたり、予算を増やしたりした」と述べていた(制作を開始した企業は20%、予算を拡大・増加させた企業は42%)。自社のコンテンツを「制作しているが、予算の拡大・増額の予定はない」と回答した企業は19%だった。一方、「制作するつもりがない」と答えた企業はわずか8%だった。

過去1年間のコンテンツの取り扱い

コンテンツの制作を開始:20%
コンテンツを制作しており、予算を増額:42%
コンテンツを制作しているが、予算は増額していない:19%
コンテンツは制作していない。将来は制作予定:11%
コンテンツは制作していない。将来その予定もない:8%

また、この分野においても依然としてフェイスブックの人気が高く、82%の企業が利用しており、インスタグラムが71%でそれに続いていた。さらに、YouTubeがリンクトインを抜いて3位に浮上した。5位のTikTokの利用率は58%と、前年比で1ポイント増加していた。

過去1年間の利用プラットフォームの割合

Facebook: 82%
Instagram: 71%
YouTube: 70%
LinkedIn: 63%
TikTok: 58%
Yelp: 54%
X: 52%
Grubhub: 47%
Pinterest: 43%
Reddit: 40%
Nextdoor: 40%

TikTok禁止措置の延長と、米国の中小企業への影響

ここで気になるのは、果たしてTikTokがこの勢いを維持できるか、あるいは来年までプラットフォームが存続しているかどうかだ。トランプ政権は議会が可決したこのアプリの禁止措置の実施を先延ばしにしているが、もしこの措置が実施されれば、中小企業はコンテンツの出し先を失うことになる。

コロンビア・ビジネス・スクールが実施した新たな研究によると、今年1月にTikTokが一時的に利用不能になった際に、フェイスブックとインスタグラムの広告単価は、大手の広告主が出稿先を切り替えたことを受けて約10%上昇したという。中小企業はこれに対応できなかった。この研究は、「TikTokの禁止措置が発動されれば、最も打撃を受けるのはコストの上昇に対応できないスモールビジネスの広告主だ」と結論づけている。

そんな中TikTokは、中小企業にとっていかに効果的なプラットフォームであるかをアピールしている。同社は、5月に総額100万ドル(1億4200万円)相当の広告クレジットを中小企業に無償提供するキャンペーンを展開している。

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編集=上田裕資

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