しばらくはAIとキャッチボールが必要か
さまざまなニーズが想定できる「PLAUD NOTE」だが、実用に即したきめ細かなアイテム機能も面白い。たとえば、スマホに磁力で装着できるので、会話の内容を骨伝導で収録できる。このため、スマホ自体で録音するときのような、突然の着信による中断リスクがないのだ。
また「PLAUD NOTE」の姉妹品として製品化された「PLAUD NotePin(プラウドノートピン)」は小型のボイスレコーダーで、クリップでジャケットの襟に留めたまま録音できる。
筆者は特にこの「PLAUD NotePin」を仕事の打ち合わせや若い人たちとのおしゃべりの場などで、よく利用するようになった。
若い彼らは筆者の知らない世の中の出来事やトピックスを屈託なく聞かせてくれるが、そんなとりとめのない会話のなかに、いろいろな発見があり、気づきを与えてくれるのだ。彼らの年代の独特の感じ方やモノの見方が新鮮でもあるし、筆者が試しにふってみる話題についての意想外な感想からは、むしろ教えられることも多い。
もっとも、現状のAI翻訳のレベルに限界があることは致し方ない。先日、筆者は「珠江橋」という1958年創業の中国では老舗の調味料メーカーの企画した食事会に招かれ、主催者たちの日本語と中国語が入り乱れるスピーチを、PLAUD NotePinで収録した。
その内容は、中国の多様な調味料は日本の中華料理に新しさをもたらし、貢献できるだろうというもので、実際に同社の驚くほど多種類の調味料を使った料理が10数皿供され、それぞれのレシピが説明されるというものだった。
実際にそれぞれ異なる調味料を舌で味わう体験はとても面白く、たとえば、スズキの香港風蒸し「清蒸鮮鱸魚」で使われたコクのある海鮮用醤油の「蒸魚鼓油」や四川料理の鶏のスパイシー揚げ「辣子鶏」のシャープな辛さと痺れを生み出す「藤椒油」などは、ふだんは自宅で簡単な料理しかつくることのない筆者でも、使ってみたくなる深い味わいだった。


