データは恣意的に利用される
代表値はあるデータの1 つの側面にすぎないと考えると、データの特徴をできるだけ正確に誰かに伝えたいときは、そのデータを可視化したもの(グラフなど)も見せるのが理想です。
上の図は日本における「所得金額階級別世帯数の相対度数分布」で、これを見ると、日本の1 世帯当たりの平均所得は約524万円ということになるので、けっこう高いんだなという印象を持つかもしれません。
でも、「100万円以上~ 200万円未満」の所得金額の分布が14.6%でもっとも多く、日本人の年収の最頻値は150万円ということになります(2023 年)。これを見ると、多くの日本人の生活が苦しくなっていることが実感できるのではないでしょうか。
「平均」というと真ん中くらいというイメージを持つ方が多いですが、実際は平均より収入が少ない世帯は多い世帯より約1.6倍多い。みんなが持っている「平均は真ん中」というイメージが実態の理解を難しくさせているわけです。
データの全体像が隠された状態で「平均は〇〇だ」といわれたときは、「そのグラフはどうなっているんだろう?」「その代表値は実態を表しているのか?」と疑う習慣をつけましょう。
人を欺く目的で代表値にそぐわない代表値を使うことは、行政やマーケティングの常套手段だからです。
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