『ポケモン GO』に続くヒットの不在
『ポケモン GO』は、2016年の登場以降に推定80億ドル(約1.1兆円)の収益を上げた大ヒットゲームとなった。また2024年には、任天堂と共同開発した歩数計ゲーム『ピクミンブルーム』、カプコン共同開発による『モンスターハンターNow』を含むラインナップ全体合計で月間3000万人のプレイヤーを抱え、10億ドル(約1420億円)の収益を上げた。ただ調査会社アルドラ・インテリジェンスによると、その大部分は『ポケモンGO』によるものという。同社は、この10億ドル(約1420億円)の収益のうち7億7000万ドル(約1093億円)が『ポケモンGO』によると推定している。
ナイアンティックは『ポケモンGO』の成功を再現するのに苦戦していた。世界的ヒットの次の一手として2019年にリリースした『ハリー・ポッター:魔法同盟』は、2022年に配信を停止し、90人をレイオフしていた。また、その翌年にはロサンゼルスのスタジオを閉鎖し、従業員の4分の1にあたる230人を解雇した。
『ポケモン GO』も全盛期に比べれば勢いを失っており、アップルのApp Storeでは依然としてRPGカテゴリーのトップ10に入ってはいるものの、無料ゲーム全体では100位圏外となっている。
ゲーム開発部門と技術開発部門の「競争」
しかし、ハンケは今回の売却について、ゲームの業績不振や収益の悪化によるものではないと主張しており、ナイアンティックの幹部も、その最大の理由に「事業の集中」を挙げている。同社の社内では長年にわたり、プレイヤーを楽しませることが主題のゲーム開発部門と、ARやマッピング技術を担う技術開発部門との間で「競争」があり、優秀な人材、開発時間、予算といった限られたリソースを巡る軋轢があったという。
多くのゲームプレイヤーがなじみのある技術開発部門が担った技術基盤としては、「視覚測位システム(VPS)」などがある。カメラ映像を元に、ある場所と時間に人がいるかを正確に特定できるもので、例えば、現実世界においてポケモンをいつどこで誰が掴まえたのかを把握できる。また技術ポートフォリオとしては、2021年に買収した、スマートフォンで部屋をスキャンして3Dモデルを作成できるアプリ「Scaniverse(スキャニバース)」も挙げられる。
2019年にナイアンティックのシリーズCラウンドで最初に投資したバッテリー・ベンチャーズのブランドン・グレクレン氏は、ゲーム開発とAIをはじめとする技術基盤の開発の両立は「ふたつの体が3人4脚で走っているようなものだ」と述べ、この動きは避けられなかったとフォーブスに語った。


