現在、ISSへの人員輸送にはスペースXの「クルードラゴン」とロシアの「ソユーズMS」が使用されているが、搭載バッテリーや保安上の観点からそれらの宇宙滞在期間は200日(ソユーズ)から210日(クルードラゴン)程度を目処としている。そのため、ISSの運用費を軽減するには、1ミッションの期間を延長するのではなく、人員、研究項目、無人輸送機の打ち上げを減らすことになる。その結果、現在NASAでは年4機から5機を打ち上げているISS無人補給機を3機に減らし、日本、欧州、カナダを含む米国区画の乗員を4名から3名に減らすことを検討している。また、今回の予算案には「ISSの研究能力は月と火星の探査に不可欠な取り組みに集中する」とも記されている。
オリオンとSLSの代替機
今回の予算案が可決されたとしても、アルテミス2(2026年予定)とアルテミス3(2027年予定)ではオリオン宇宙船とSLSロケットが使用され、その運用中止はアルテミス4以降となる。
オリオンとSLSの代替機としてはスターシップが筆頭に挙げられるが、スペースXの宇宙船「クルードラゴン」を「ファルコンヘビー」で打ち上げるプランも有力視されている。また、NASAがオリオン宇宙船の運用を停止したとしても、その開発企業であるロッキード・マーチンが民間機として運用し続けることが考えられ、その場合はジェフ・ベゾス率いるブルーオリジンが資本提携する可能性もある。
これらの有人宇宙船は月面に着陸する機能を持たないため、ゲートウェイが中止された場合、月着陸機であるスターシップHLSと月周回軌道上で直接ドッキングすることになる。また、イーロン・マスク氏は過去に、スターシップを宇宙ステーションとして利用する構想を明らかにしており、場合によってはクルーを輸送する宇宙船、月ステーション、月着陸機のすべてがスターシップで構成されることも考えられる。いずれにせよ今後の有人宇宙探査においてスターシップがキーアイテムとなることは間違いない。
オリオンは4人乗りだが、スターシップのペイロード(積載能力)は150トンとされる。つまり、月への人員輸送手段としてスターシップが選定されれば、1回のミッションで月に向かう人員が増える可能性がある。その場合は、アルテミス計画に大きく貢献する日本人宇宙飛行士のアサインが増えることも考えられる。


