宇宙

2025.05.27 12:00

日本人宇宙飛行士の月面着陸、いつ誰が実現? NASA予算の大幅削減で混迷するアルテミス計画

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ただし、月着陸機としてNASAに選定されている「スターシップ」の開発が大幅に遅延しているため、日本人宇宙飛行士とルナクルーザーに限らず、アルテミス計画のあらゆるスケジュールとタスクが不透明な状態にある。これまでに行われた飛行テストはすべて準軌道(地球周回軌道に乗らない弾道飛行による軌道)によるもので、実運用までには周回軌道テストや有人飛行テストのほか、無人の姉妹機(スターシップV3)による軌道上での推進剤補給テスト、第2段宇宙船の発射台タワーによる捕獲着陸テストなど、難易度の高い実証試験が数多く残されている。

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飛行テストが継続されているスペースXの超大型打上システム「スターシップ」。第2段ロケットが宇宙船を兼ね、軌道上でタンカーと呼ばれる姉妹機から推進剤を補給することを前提として運用される
飛行テストが継続されているスペースXの超大型打ち上げシステム「スターシップ」。第2段ロケットが宇宙船を兼ね、軌道上でタンカーと呼ばれる姉妹機から推進剤を補給することを前提として運用される

さらに、スターシップの月着陸機仕様である「スターシップHLS」では、無人での月軌道テストや月面着陸テストも事前に行う必要がある。これらの山積した課題を考慮すれば、アルテミス3が予定される2028年に、59年ぶりに2名を月面に立たせることは困難と思われ、その実施は2029年以降になる可能性が高い。その結果、日本人宇宙飛行士やルナクルーザーの月面ミッションも、2032年よりさらに遅れると予想される。

最初に月に立つ日本人は?

日本人として誰が最初に月面に立つかはまったくの未定だ。ISS(国際宇宙ステーション)の長期滞在ミッションの場合は1〜2年前にアサインされ、打ち上げの数カ月前に公表されるが、より複雑な月面ミッションの場合はさらに早い段階でアサインされる可能性がある。

JAXAに所属する宇宙飛行士は現在7名いるが、なかでも大西卓哉氏(49歳)は月面ミッションに対してもっとも積極的な姿勢をみせ、過去には、「月面で活動する日本人宇宙飛行士に選ばれるよう、飛行士としてのスキルを磨いていきます」とコメントしている。3月からは自身2度目のISS長期滞在に着任しており、現在(第73期)はISS船長を務めている。

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第73次長期滞在でISS船長を務める大西卓哉氏。日本人としてISS船長に任命されたのは若田光一氏、星出彰彦氏に続いて3人目(c)NASA
第73次長期滞在でISS船長を務める大西卓哉氏。日本人としてISS船長に任命されたのは若田光一氏、星出彰彦氏に続いて3人目(c)NASA

油井亀美也氏(55歳)は7月から大西氏と入れ替わり、2度目のISS長期滞在に臨む。大西氏が元民間輸送機のパイロットだったのに対し、油井氏は航空自衛隊のパイロットの経歴を持つ。

2人と同期の金井宣茂(48歳)は、現在は2度目のアサインを待つ状態。外科医の資格を持ち、潜水艦クルーの医学的研究をしてきた彼は、ミッションメンバー4名のスキルによっては月探査に抜擢される可能性がある。また、過去2回のミッションに選ばれた古川聡氏(64歳)も医師免許を持つ宇宙飛行士であり、3回のミッションを経験する星出彰彦氏(56歳)は、船外活動の日本人最長記録(28時間17分)を持ち、2021年にはISS船長を務めている。

2024年10月にJAXA宇宙飛行士に正式認定された米田あゆ氏(1995年生)と諏訪理氏(1977年生)は、月探査を念頭に選抜されたはじめてのJAXA宇宙飛行士であり、アルテミス計画の筆頭候補とする意見もある。本来ではあればISS長期滞在を経て月に臨むのが理想的だが、トランプ政権による今回の予算案にはISSの運用費の大幅削減も盛り込まれ、その機会が低減しようとしている。

ISSに接近中の無人補給機「カーゴドラゴン」。ISSへの最大ペイロード(与圧部積載能力)は約3300kg。科学実験機器、クルー用物資、ISS運用機器などを輸送する(c)NASA/JSC
ISSに接近中の無人補給機「カーゴドラゴン」。ISSへの最大ペイロード(与圧部積載能力)は約3300kg。科学実験機器、クルー用物資、ISS運用機器などを輸送する(c)NASA/JSC
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編集=安井克至

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