経営・戦略

2025.05.26 12:00

世界最強の「親の七光り」で稼ぐ「トランプの息子」らのMAGA経済圏

2025年4月28日、ドバイのトランプ・インターナショナル・ホテル&タワーの開業式に出席したドナルド・トランプ米大統領の息子、エリック・トランプ(Photo by Nicolas Briquet/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

保守派向け「Eコマース」にも関与

また、息子たちの新事業は暗号資産のみにとどまらない。父親が選挙に勝利してからわずか1週間後、ジュニアは保守的な企業への投資に特化したベンチャーキャピタル(VC)の「1789キャピタル」に参加すると発表した。このVCは、「脱グローバル化」や「過度の官僚主義に縛られた産業を変革するテクノロジー」に投資を行うと述べており、累計7億ドル(約994億円)以上を調達したとされるが、彼の持分は不明だ。

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ジュニアはまた、11月にドローン会社「Unusual Machines(アンユージュアル・マシーンズ)」の顧問に就任し、20万株を報酬として受け取った。彼の関与が公になった直後に、同社の株価は10倍近く上昇し18ドル(約2556円)を超えたが、その後は下落した。現在の株価は5ドル弱(約710円)だが、それでもジュニアの持ち株の価値は約100万ドル(約1億4000万円)相当となっている。

ジュニアはさらに、12月に保守派の価値観を重視するEコマースサイト、PublicSquare(パブリック・スクエア)の取締役に就任した。同社は1789キャピタルの共同創業者のオミード・マリクが主導した特別買収目的会社(SAPC)との合併を経て上場した企業で、ジュニアは、2024年8月から同社の顧問を務めており、月額4万2000ドル(約596万円)の報酬と株式を受け取っていた。12月に彼の保有株は50万株を超え、現在の評価額は100万ドル(約1億4000万円)以上となっている。ジュニアはまた、1月にはオンライン賭博市場Kalshi(カルシ)の顧問にも就任した。米商品先物取引委員会(CFTC)は今年5月、同社との対立を解消する動きを見せたと報じられている。

トランプ2期目以降、さらに機会が広がる

そしてトランプの2期目の政権が始まって以降は、兄弟にとってさらに利益が見込める機会が広がった。たとえば、ジュニアとエリックのふたりは2月に「Dominari Holdings(ドミナリ・ホールディングス)」という上場企業の顧問に就任したが、時価総額がわずか7000万ドル(約99億円)の同社は、AIとデータセンターという「急速に進化する分野」におけるふたりの「貴重なリーダーシップと戦略的見識」を理由に彼らを任命したと述べている。

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この発表は、トランプ政権がこれらの分野に数十億ドルの投資を発表した直後のことだった。米証券取引委員会(SEC)の資料によれば、ジュニアとエリックはそれぞれ100万株を報酬として与えられ、さらに20万株以上を購入した。23日時点の株価に基づくと、それぞれの持ち株の価値は約580万ドル(約8億円)に達している。

日本の暗号資産企業「メタプラネット」の顧問にも就任

また、ふたりの将来には他にも明るい展望が広がっている。ジュニアは現在、オンライン銃器販売業者「GrabAGun(グラブ・ア・ガン)」の顧問を務めているが、この企業も1789キャピタル創設者のマリクが関与する別の特別買収目的会社(SPAC)との合併を進めている。さらに3月にエリックは「American Bitcoin(アメリカン・ビットコイン)」という暗号資産企業を共同創業したが、同社は現在、上場企業のマイニング企業「Gryphon(グリフォン)」との合併を進めている。エリックはまた、同じ月に日本のビットコイン投資企業「メタプラネット」の顧問にも就任している

もちろん、兄弟はトランプ・オーガニゼーションのことも忘れていない。これまで長年取り組んできた同社の海外でのブランド展開は、以前にトランプが自らに課した倫理規定から解放されたことで一段と加速している。ここ数週間だけでも、ジュニアはビジネスや暗号資産関連のイベントに出席するため欧州の複数の主要都市を訪問している。エリックも、アラブ首長国連邦(UAE)での新たなトランプ・ブランドのホテルを発表したほか、オマーンやサウジアラビアでの新プロジェクトを宣伝した。

「ここで新情報を出すつもりはない」とエリックはUAEの聴衆に語ったが、「これからいくつか新しい展開があると思う」と付け加えた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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