なぜ「カイゼン」は楽しいのか 「日本の製造業」成長シナリオ

「投資の巨人」バフェットとソロスの薫陶を受けた阿部修平代表が率いるスパークス・アセット・マネジメント。同社が運用する「日本モノづくり未来ファンド」が支える企業から、日本経済を復活させる独自の方法論を探る。 


藤吉雅春(Forbes JAPAN編集長):トランプ関税による打撃など不確実性が増す経済情勢ですが、阿部さんは従来から日本にチャンスが到来している、今こそ「モノづくり」の基盤となる人を残し続けた日本の出番だ、と論じておられます。今回は御社が運用している「日本モノづくり未来ファンド」を例に、その具体的な未来像を見ていきたいと思います。

まず、ファンドの内容について企業投資本部長として運用を担当されている水谷光太さんに説明をしていただきます。

水谷:私たちスパークスが運用する「日本モノづくり未来1号ファンド」は、日本の製造業、特に自動車産業に特化したファンドです。

このファンドはコロナ禍が日本の自動車産業を直撃していた2020年、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)の「日本のモノづくりを守る」という想いを受けて生まれました。投資家としてトヨタ自動車を始めメガバンク3行や証券会社、地域金融機関などに入っていただき、弊社が投資先を選定したり、その後の経営などを支援する運用者の役割を担っています。

このファンドの最大の特徴は、弊社が培った様々な事業会社のネットワークを駆使して、資金だけでなく人材や知見をも提供することで、投資先企業と伴走し、その企業価値を上げていく点にあります。現在は168億円規模のファンドとなっております。

同ファンドの初めての投資事例が、株式会社IJTTの非公開化です。IJTTは売上高1600億円、従業員4000人規模の会社で、自動車部品の鋳造・鍛造・機械加工を主力としています。

優れた技術を保有するモノづくりの中核企業ですが、特徴的なのは売上の約75%をいすゞ自動車に依存し、株主構成的にもいすゞが43%を保有していた点で、いすゞの連結子会社でありながら上場している「親子上場」の状態にありました。我々はこの構造の見直しと、IJTTの自立支援を目的に、TOB(公開買い付け)を実施いたしました。

では実際、弊社がIJTTにどのような支援をしているのかというと、大きく分けて「人材」と「技術」の2つがあります。まず人材面では、トヨタから鋳造領域のエキスパートを派遣いただいてIJTTの役員に入ってもらい、常駐で支援していただいています。

次ページ > AI技術を活用した鋳造の品質向上プロジェクト進行中

text by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka

連載

市場の波に乗る12の視点 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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