アジア

2025.05.25 11:00

関税一時引き下げでも楽観できない中国経済 トランプ発「不確実性」が重荷に

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トランプが1月20日に2期目の大統領に就任する前から、中国は、巨大な不動産危機、それによって助長されるデフレ、過去最悪に近い若年失業率、急速に進む高齢化、地方政府の莫大な債務といった問題にさいなまれていた。これらは中国の家計需要をむしばんでいる。

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追い打ちをかけたトランプ関税は、中国が持ちこたえているように見えても痛手だ。そして、その痛みは次第に強くなっている。

デフレがさらに定着するにつれて、潘功勝(パン・ゴンシャン)総裁率いる人民銀は利下げペースを加速させていくに違いない。中国の物価は急激に落ち込んでいるわけではない。それでも、卸売物価が31カ月連続で下落しているというのはけっして良いことではない。4月の卸売物価指数は前年同月比2.7%低下した。消費者物価指数も3カ月連続で下がっている。

人民銀による利下げは昨年10月以来のことで、そのときは0.25ポイント引き下げられていた。それ以降に変わったことはと言えば、貿易戦争の緩和と、人民元の上昇だ。ここ数カ月、潘は人民元の急落を招きかねないとの懸念から利下げを控えていた。

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元安が進めば、ドル建て債務を抱える不動産開発業者は返済時の負担が重くなり、新たなデフォルト(債務不履行)の連鎖を引き起こすおそれがある。レバレッジ(過剰債務)の削減や不良融資の是正のために、何年も続けてきた努力も水の泡になりかねない。元安はまた、間違いなくトランプのホワイトハウスの怒りを買い、関税を大幅に引き上げる引き金になるだろう。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、フアン・ツーチュンは、中国の利下げは今回が「今年最後のものにはなりそうにない」とみている。

「利下げにより、既存融資の利払いが減り、債務がある企業の負担はいくらか軽減する。新規融資の金利も下がる。しかし、小幅な利上げだけでは、融資の需要、あるいはより広範な経済活動を大きく押し上げそうにはない」(フアン)

言い換えれば、人民銀は今年後半にかけて忙しくなりそうだということだ。習の財政政策担当者も同様だろう。

野村国際の中国首席エコノミスト、陸挺(ルー・ティン)は、中国が2025年の5%前後という成長率目標を達成するのは「かなり大型の景気刺激策を打ち出さない限り相当難しい」と見方を崩していない。「貿易戦争の小休止を受けて、中国政府は必要な刺激策や改革を講じる圧力が軽減しているのかもしれない」とも述べている。

とはいえ、中国がかねて抱えている経済問題と、世界最大の経済大国への全輸出品になお30%の関税がかけられているという事実を踏まえれば、状況はけっして楽観できない。現行の関税にも増して深刻なのは、その水準が今後どうなるかが不透明なことだ。経済の不確実性は非常に大きなコストをともなう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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