「上司との接し方」を教えるのはリーダーの仕事
効果的なコミュニケーションの鍵は、ミーティングを構造化することだ。これにより、自由な議論を促しつつ、生産性を最優先することができる。
先見性のある企業となるためには、場当たり的なアクセスを排し、先を見越した積極的なコミュニケーションに置き換えることを検討すべきだ。例えば、上層部との定期的なミーティング、部署横断的な戦略セッション、詳細な文脈情報を添えた社内連絡といったものだ。
こうした構造化された流れにより、リーダーは、職場の現状を把握しつつ、チームメンバーに独自の判断で行動する権限を与え、情報の過負荷やアクセスの不平等を避けられる。これはすなわち、「いつでも話を聞くよ」から、「明確な意図をもって話し合おう」への意識的転換だ。
ミーティングの構造化によるスマートなリーダーシップ
リーダーは、オープンな姿勢を捨てる必要はない。重要なのは、そうした姿勢を意図をもって再構築することだ。以下に示す実践的枠組みの指針は、頭文字を取ると「STRUCTURE(構造)」になる。
境界線を引く(Set boundaries):
認知的エネルギーの温存のため、邪魔が入らない「集中する時間」を設ける。
タッチポイント(Touchpoint):
1対1の定期面談や、チームミーティングの機会を利用して、一貫したアップデートを行う。
「飛び込み」や「臨時」を排す(Replace "pop-up" and "pop-ins”):
場当たり的なミーティングを極力減らし、一定のペースで一貫したアップデートを行う。意識的にチームメンバー全員とつながりを持つ。
匿名フィードバックの活用(Use anonymous feedback):
アンケートやデジタルプラットフォームを利用し、偏りなく懸念を拾い上げる。
コントロールより文脈(Context over control):
Netflixのリーダーシップ・イニシアチブにならい、マイクロマネジメント(細かいことまで管理しようとすること)ではなく、戦略的意図を提供する。
コミュニケーション効率を追跡する(Track communication effectiveness):
メッセージが伝わったか、対応が取られたかを積極的に評価する。現代のリーダーにとって、フォローアップは不可欠だ。部下とのやり取りにおいては、「期待」から一歩進んで、「合意」を形成しよう。
フィードバック・ループの統合(Unify feedback loops):
部署横断的チャネルを構築し、協働的ディスカッションや調整を行う。Slackではいま何が起こっているのか? 関心の高い社員が、リーダーの貴重な時間を使うことなく疑問への答えを得られるような、フォーラムやボードは存在するか?
先を見越した積極的な働きかけ(Reach out proactively):
座して待つのではなく、現場を訪れ、フロアを歩き回ろう。リモートワーカーとは、Zoomでのマイクロミーティングの機会を設けよう。上司との接し方を教えるのはあなたの仕事だ。意図をもって質問しよう。また、意図をもって設けたミーティングには、「個々のチームメンバーの貢献を高めるためにあなたに何ができるか」という視点をもって臨もう。
幅広いエンゲージメント(Engage broadly):
「内輪」の意見だけでなく、部署や職階を超えたインプットを求めるようにしよう。全員の意見は、個人の意見よりも賢いことを覚えておこう。それに、新しい視野は、いつでもあなたの世界を広げてくれる。


