リーダーシップ

2025.05.27 09:30

「無駄な会議」ゼロへ―「意図ある会議」と透明性を導くリーダーへの指針

Diego Cervo / Shutterstock

ミーティングにおける情報の過負荷

取捨選択を経ていない「飛び込み」、つまり場当たり的なミーティングは、リーダーが情報を処理し、優先順位をつけ、対策をとる能力を著しく阻害するおそれがある。研究によれば、特に認知的負荷の高いタスクに取り組んでいるとき、頻繁に中断を強いられると、人はエラーを起こしやすくなり、生産性が低下する。ドアのノックに応えたばかりに、30分にわたって業務とは無関係な会話に巻き込まれ、完全にタスクに再集中するのに25分以上の時間を要する可能性があることが、科学的に実証されているのだ。

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会社員がほかのことに気を取られて浪費する時間は、年間約720時間とみなされており、これはほぼ90日分(1日あたり8時間)の勤務に相当する。米国では、このような中断によって週平均6時間33分が失われており、1カ月の累積では26時間を超える。

重要なのは、ただ話を聞くことと、生産的に耳を傾けることを明確に区別することだ。リーダーとして、部下に対してアクセスを提供したいのは分かるが、生産性にも気を配るべきだ(ただの雑談は無意味だし、ほかの方法でアクセスできるならば「ギャップ」を埋める必要はない)。リーダーとチームメンバーはいずれも、記事後半の「STRUCTURE」の略語を指針として、生産的なコミュニケーションとはどういうものかをよく理解しておこう。

リーダーの意思決定におけるバイアス

オープンドア・ポリシーの意図せざる結果として、声の大きなマイノリティ(リーダーとの話し合いに対して、より積極的な人々)を優遇してしまい、チーム全体からのインプットがないがしろにされることがある。これは、意思決定をゆがめる一種のアクセスバイアスを生み出す。

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人は誰でも確証バイアスを持っており、既存の信念を裏付ける情報を探し求め、また重視する傾向にある。ビジネスの場面では、こうした確証バイアスのせいで、リーダーの見解が組織の全体像から乖離することがある。このような状況は、相対的に目立たない社員にとって、不満の蓄積や、心理的安全性の低下につながる。

リーダーへの「構造を欠いたアクセス」がもたらす帰結 

明確な方針なしにリーダーがオープンドア・ポリシーを採用した場合、組織は4つの重要な側面において困難に直面するおそれがある。

1. 生産性の低下:絶えず中断が入るせいで集中が削がれ、アウトプットが減少する

2. 信頼の劣化:特定の社員との頻繁なミーティングがえこひいきと受け止められることで、不満が蓄積し、チームの結束に亀裂が入る。例えば、リモートワーカーにはどう対応するのか? 上司へのアクセスに関して、本当に全員が同じ条件にあるだろうか?

3. 意思決定の質の低下:声が大きい少数の社員からの偏ったインプットにより、意思決定がゆがめられる

4. 一貫性を欠いたメッセージ:リーダーが場当たり的な方針変更を繰り返すことで、混乱と、整合性の欠如を招く

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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