GXイノベーション最前線:日本の産業変革を牽引する50社の挑戦

世界がカーボンニュートラルへの歩みを加速させる中、日本のGX(グリーン・トランスフォーメーション)領域に新たな潮流が生まれている。アスエネが選出した「次世代GX企業50選」が浮き彫りにしたのは、再エネから核融合、循環経済まで、多様な分野で革新を起こすスタートアップたちの姿だ。これら企業群と既存企業の連携こそが、日本の産業競争力を高め、持続可能な社会への移行を加速させる鍵となるだろう。本稿では、「次世代GX企業50選」から読み取れる今後のトレンドを追っていく。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、日本のビジネス環境は劇的な変貌を遂げつつある。従来、GXの取り組みは主に大企業が牽引してきたものの、近年はパラダイムシフトが進行中だ。再生可能エネルギーから次世代燃料、循環経済まで、幅広い分野で革新的なスタートアップが台頭し、新たなGXエコシステムを形成し始めた。

アスエネは、この変化を捉え、日本のGXスタートアップを対象に、調達額、従業員数、特許数、プレスリリース数などのデータに基づき、持続可能な社会の構築に貢献する有望企業50社を選出した。選出企業の構成を見ると、発電・小売分野と循環・資源化分野がともに10社ずつで最も多く、次いでエネルギーマネジメント・省エネ・市場関連が8社と続く。こうした分布からは、エネルギー創出から資源循環まで、持続可能な社会実現に向けたサプライチェーン全体でGXイノベーションが進展していることが読み取れる。

また、50選に選定された企業には共通する特徴が見られる。まず、環境問題への対応だけでなく、社会課題の解決と事業成長を同時に追求するアプローチを取っていること。次に、自社開発の技術を特許などで守りながら事業を積極的に展開していること。そして、大企業や投資家から高い評価を受け、大規模な資金調達に成功していることだ。具体例として、「自然電力」はカナダの年金基金CDPQから700億円を調達し、「TBM」は累計で約400億円、「Sustech」は企業価値が1,200億円以上と評価されるなど、大型の資金調達や高い企業評価を受けた企業が上位に名を連ねている。加えて、「パワーエックス」の電気運搬船や「京都フュージョニアリング」の核融合技術など、業界に革命をもたらす可能性を持つ企業も高く評価された。

「GXというと再エネ小売や大企業の取り組みに注目が集まりがちですが、実際には多様な領域で革新的なソリューションが次々と誕生しています。企業は一から技術を自社開発する必要はなく、こういったGX企業と連携することで、効率的に自社のGXを推進できる環境が整いつつあります」とアスエネCEOの西和田は語る。

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text by Koh Ueno | edited by Mao Takeda | Photo by iStock.com/fujiwara

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