北米

2025.05.24 14:00

米サウスウエスト航空、機内で手荷物内のスマホ充電禁止 背景にリチウム電池の発火

wisely / Shutterstock.com

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米テキサス州ダラス市に本社を置く格安航空会社(LCC)のサウスウエスト航空は、機内に持ち込んだモバイルバッテリーを手荷物に収納したままの状態で電子機器の充電に用いることを禁止する措置を、米国の航空会社としては初めて導入した。同社の安全措置は、現行の米連邦航空局(FAA)の基準を上回るものだ。

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座席ポケットやテーブルに置くことで、過熱や発火に迅速に対処

サウスウエスト航空の乗客は5月28日以降、機内でモバイルバッテリーを用いて充電する際には、テーブルの上や座席のポケットといった、外部から見える場所にバッテリーを置いて行うことを求められる。手荷物に入れたバッテリーを機内に持ち込むことは引き続き許可されるが、電源を切っておく必要がある。

「バッテリーを見える位置に置くことで、万が一の過熱や発火などの事態に迅速に対処できる」とサウスウエスト航空は表明した。

FAAと米運輸保安局(TSA)は、モバイルバッテリーを預け入れ荷物に入れることを禁止しているが、機内への持ち込みは認めている。今年2月に韓国のエアプサンは機内で火災が発生したことを受けて、モバイルバッテリーを入れた手荷物を、乗客の頭上の収納棚に入れることを禁止する措置を導入した。

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2024年、リチウム電池関連のインシデントは週平均1.6件

FAAが2024年に報告を受けたリチウム電池関連のインシデント数は81件に達しており、週あたり平均1.6件が発生している。こうしたインシデントは、リチウムイオン電池を搭載した個人デバイスの普及によって、近年急激に増加している。2014年に、FAAが報告を受けたリチウム電池関連のインシデントの数は年間でわずか9件だった。

FAAは、「リチウム電池の普及は航空機の安全に潜在的な危険をもたらしている」と指摘しており、その理由に「熱暴走が起こる可能性」を挙げている。この現象は、制御不能な温度と圧力の急上昇を引き起こし、可燃性ガスの放出を伴うとされる。

モバイルバッテリーやスマートフォン、電子タバコ、ノートパソコン、タブレットなど、リチウム電池を搭載した機器による発煙・発火の事例について、FAAは継続的にリスト化している。このようなインシデントは多くの場合、客室内に煙が立ちこめたことで乗客や乗務員が異変に気づき、火災に至る前に乗務員が対処している。

しかし、4月9日にアメリカン航空のロサンゼルス行きの便で発生したインシデントでは、乗客のモバイルバッテリーが発火し、乗務員が消火した後にシカゴへ緊急着陸を行った。また、1月15日のユナイテッド航空のサンフランシスコ行きの便では、熱暴走を起こした乗客のスマートフォンを、乗務員が耐熱袋に入れて封じ込めた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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