「ご存知」の意味とは?
もともとの由来と基本的なニュアンス
「ご存知(ごぞんじ)」とは、相手が何かを知っている状態を敬語で表す言葉です。主に敬語の一種で、「知っている」という意味合いを「存じ上げる」などと同様に相手を立てて使うものになります。たとえば「この件はもうご存知ですよね?」と言った場合、「(あなたは)既に知っているでしょう」というニュアンスを含み、目上の人や取引先など尊敬すべき相手に対して使われます。
尊敬語としては、「知っている」の相手方を敬う形になりますので、自分の行動に対しては使いません。「私が知っている」という際に「私がご存知です」と使うのは誤用になるので注意が必要です。あくまでも相手や第三者が知識を持っている場合に用いる言葉です。
敬語としての位置づけ
「ご存知」は尊敬語のなかでも特に「相手の知っている状態」に対して用いられます。ビジネスシーンで多用される丁寧表現「ご存じのとおり」「ご存じでしょうか」などは、社内外を問わず日常的に目にする機会が多いでしょう。
ただし、尊敬語であることを踏まえずに、「(自分が)ご存知でした」といった誤った用い方をしてしまう例があるので、自他の対象を正しく区別するのが重要です。相手の言葉や知識をうやまう場合には「ご存知」ですが、自分のことに関して言いたいときは「存じております」などを用いましょう。
ビジネスシーンでの「ご存知」の正しい使い方
相手が知っているか確認するとき
例えば、会議や打ち合わせなどで「既にご存知かもしれませんが…」と切り出す場合は、相手が知識を持っている(または持っていない)前提を踏まえ、情報を共有するときにとても便利です。たとえば「新製品のリリース情報はご存知かもしれませんが、もう一度ご説明いたしますね」というように、丁寧かつスムーズに話を進めることができます。
メールでも「ご存じの方も多いかと思いますが…」と書くことがあり、相手を尊重しつつ、新しい情報を補足する意図を示すフレーズとして便利です。
相手の知識・経験を敬う場合
ビジネス相手が専門的知識や豊富な経験を持っていると分かっている状況で、「これはよくご存じだと思いますが…」と前置きすると、相手への尊敬を表しながら話を進められます。このように「相手の知識レベル」を高く評価するニュアンスが加わるため、より良好な関係を築くうえでも効果的です。
ただし、過剰に「ご存知ですよね?」を連発すると、相手の反応次第で「押しつけがましい」「恩着せがましい」と思われる可能性もあります。あくまでも節度ある頻度で、適切な場面に留めるようにしましょう.
「ご存知」を使った例文
社内メール・コミュニケーション例
- 「○○の仕様変更については、すでにご存知かと思いますが、念のため再度お知らせいたします。」
- 「新システムの使い方はご存知でしょうか? もし不明点があればサポートいたしますので、お気軽にご連絡ください。」
こちらの例文では、相手が知っていることを前提としながらも、追加情報やサポートを提案する形で「ご存知」を使っています。社内メンバーに向けた連絡やサポート案内で大いに活用できます。
クライアント・取引先への文書・メール例
- 「先日の展示会の成功は、すでにご存じのとおりかと思います。引き続き、販促施策を強化してまいります。」
- 「既にご存じかもしれませんが、弊社では新規事業としてオンラインセミナーを開始いたしました。ご興味がございましたら、ご連絡ください。」
これらの例は、相手に配慮しつつ、情報を再確認させたり新情報を提示したりする際のフレーズです。「ご存知」を使うことで、相手の立場を尊重しながら説明を補足する効果があります。
使う際の注意点
自分の行動や知識に使うのは誤用
先述のとおり、「ご存知」は相手を敬う敬語であり、自分が知っていることに対して使うのは誤りです。例えば「私はそれをよくご存知です」という表現は不適切。自分の知識を示したい場合は「存じております」を用いるのが正解です。
したがって、メールや電話で「私がその件をご存知です」と言ってしまわないように注意しましょう。「存じ上げております」「承知しております」などを代わりに用いると、正しい敬語となります。
使いすぎによる冗長さを避ける
「ご存知でしょうか?」「ご存じかと思いますが」と頻繁に使いすぎると、文面や会話がややくどい印象になります。特に一つの文章や会議内で何度も出てくると、相手を持ち上げすぎる印象や、同じ内容を繰り返しているように感じさせるかもしれません。
また、「〜を存じております」「〜と理解しております」など別の丁寧表現に切り替えることで、文章にバリエーションを持たせることが可能です。
類義語・言い換え表現
「お分かりのとおり」「ご理解いただいているかと思います」
- お分かりのとおり:相手が既に認識している前提で話を進める際の表現。やや柔らかい印象を与える。
- ご理解いただいているかと思います:相手の理解を想定しつつ、丁寧に述べる言い回し。文章やビジネスメールで多用される。
これらは「ご存知」を使わない別の言い回しとしては便利な表現です。場合によっては「先にご説明しましたが」などと合わせて使い、相手の認識を再確認できます。
「ご承知のとおり」「既に把握済みかもしれませんが」
- ご承知のとおり:こちらも敬語表現で、相手が十分に知っていることを前提に会話を進める意味合いを持つ。かしこまった文書でしばしば使われる。
- 既に把握済みかもしれませんが:フランクな言い回しで、「もし知らなかったらこの情報を提供します」という含みを持たせられる。
上記は、「ご存知」の繰り返しを避けたいときに使い分けると、文章をスマートに仕上げることができます。敬語のレベルや相手との関係に合わせて切り替えると良いでしょう。
まとめ
「ご存知」は、相手が何かを知っていることを敬意を込めて示す言い回しであり、「あなたは知っているはずですが」と柔らかく伝える際に使われます。ビジネスメールや会話で頻繁に活躍するフレーズである一方、自分の知識や行動に使うのは誤用となるため注意が必要です。
また、「ご存知でしょうか」「ご存知かと思いますが」といった形で使うことで、相手を尊重しながら情報を再確認したり、追加説明を行ったりする効果があります。ただし、多用するとくどい印象を与えかねないため、「ご承知のとおり」「お分かりのとおり」「既に把握済みかもしれませんが」など、他の類似表現と併用して文章や会話にバリエーションを持たせるのが望ましいです。
要するに、「ご存知」は敬語表現として高い汎用性を持っており、ビジネスシーンでは必須とも言えるフレーズです。正しく使いこなし、相手への敬意を伝えつつ、効果的なコミュニケーションを図ってみてください。



