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2025.05.23 10:00

経済不安でペットの維持費を懸念する飼い主が増加、米国

Shutterstock.com

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犬や猫が家族の一員になると、ほとんどの人は維持のためにあらゆる手段を講じるだろう。しかし、ペットと暮らすには多額の費用がかかる。犬が10歳になるまでにかかる費用は平均で3万4550ドル(約498万円)、猫が16歳になるまでには平均で3万2170ドル(約463万円)かかる。米国ではドナルド・トランプ大統領の関税政策により、ペットの維持費が物価上昇の影響を受けるのではないかと懸念し始めている飼い主や保護活動家もいる。

米国の動物保護施設のデータベースを管理する非営利団体シェルター・アニマルズ・カウントの広報責任者トリ・フゲートは、かねてより経済状況はペットの放棄の要因となってきたが、関税の影響による経済的負担の増加が状況をさらに悪化させる可能性があると指摘。ペット関連の商品やサービスの価格が上昇すれば、ペットを手放すという悲痛な決断を迫られる飼い主が今後増える恐れもあると警告した。

ペットシッターと飼い主を結び付けるアプリを運営する米ローバーが行った調査によると、調査対象となった飼い主の半数以上が、新たな関税によってペットにかかる費用が今後上昇することを懸念しており、4分の1以上がペットに必要なものの支払いをすでに心配しており、3人に1人がペットを養うために他の生活費を削っていた。

シェルター・アニマルズ・カウントのフゲートによれば、家庭にのしかかる経済的圧力と同じことが動物保護施設にも影を落としており、獣医用医薬品から餌、清掃用品、人員配置に至るまで、運営費が増加しているという。「こうした経費の増加により、動物保護施設にとっては増大する需要を満たすことが一層困難になっている。シェルター・アニマルズ・カウントは経済変動に連動する傾向を探るため、全国の動物保護施設情報を積極的に監視している」

獣医にかかる費用を捻出できない飼い主も

ペットの養子縁組に特化した米非営利団体ペットスマート・チャリティーズと米世論調査会社ギャラップが共同で実施したペットに関する調査では、経済不安がすでにペットの獣医診療に影響を与えていることが示された。ペットスマート・チャリティーズのエイミー・ギルブレス会長はこの調査結果に驚き、次のように述べた。「52%、つまり調査対象となった飼い主の半数以上が、自分のペットに診療が必要だと思いながら獣医に行かなかったか、獣医に勧められた治療を断ったことがあるということだ。まさかそれほど多いとは思わなかった。その52%のうち71%が、治療を受けなかった理由として経済的な不安を挙げていた」

同会長はまた、飼い主の3人に1人が、必要な治療費を支払えなかったためにペットを亡くした友人や家族を知っていると報告したことに「衝撃を受けた」と語った。「これはペットにとっても、人間にとっても、そして獣医にとってもつらいことだ」

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翻訳・編集=安藤清香

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