安泰や快適さを求めて意図的に作り出した暮らしや日課に、当の本人が無関心になり、うんざりするという話をよく耳にする。朝起きて日課をこなし、気がつくと何の意味もない1日がまた終わっている。
充実した旅ではなく終わりのないループのように感じられる、型にはまった暮らしから抜け出せない人が多い。いろんなことが暮らしで起きているのに、本当の自分の人生を生きているのではなく、ただ存在しているだけのように感じるのだ。
人生が自動操縦で進んでいるようなこうした感覚は不安を覚えるものであり、人生には今経験している以上のことがあるのではないかという感覚がつきまとうことになる。だが前向きな点もある。惰性の状態に留まる必要はないということだ。このパターンから抜け出し、より強い意図と意識をもって自分の人生を生き始めることは十分に可能だ。
本当の自分と再びつながり、人生への情熱を再度かき立てるのに役立つ3つの戦略を紹介しよう。
1. 個人的な「公約」を作る
自動操縦モードから抜け出し、人生の主導権を取り戻すための強力な方法の1つは個人的な「公約」を作成することだ。自分の核となる信念や価値観、どのように生きたいかを書いて宣言する。
この公約は単なる目標のリストではなく、あなたの存在意義や生き方の原則、世界に対して貢献したいことを反映するものだ。
公約作りのプロセスは深く内省することから始まる。以下のような問いを自分にぶつけてみよう。
・自分は何を本当に信じているのか
・どのような人間でありたいと願っているのか
・他人にどのような影響を与えたいのか
「生きがい」や「侘び寂び(わびさび)」といった日本の哲学からもインスピレーションを得られるかもしれない。
生きがいは「存在理由」と訳されることが多く、自分の好きなことや得意なこと、世界が必要としていること、そして自分が報われること、それらの交差点を見つけることで得られる。生きがいを自分の公約に組み込むことで、深い満足と目的をもたらす人生の道筋を明確にできる。また、2021年のメタ分析では、生きがいをもって生きると身体の健康状態が自然に向上することが確認されている。
一方で「侘び寂び」とは、不完全さの中に美を見出し、人生のはかなさを受け入れる心だ。私たちが知っているように、また研究でも強調されているように、完璧さの追求は得てして進歩を妨げる。侘び寂びを自分の哲学に取り入れることで人生の不完全さを受け入れられるようになり、今をより完全に生き、現在に満足を見出せるようになる。
公約を生活の中心に据えるためには、机の上や日記帳、スマホの壁紙など、目につくところに掲げておくといい。毎日目にすることで自分の意図を常に意識でき、目的をもたないまま流されることなく、集中して意図的に過ごせる。



