・東京は「アジアで最も裕福な都市」
10年前に「世界一裕福な都市」の地位から陥落した東京は、ここ数年間の日経平均株価の力強い回復に支えられ、2024年に引き続いて3位を守った。日本の首都に居住するHNWは29万2300人で、センティミリオネア262人とビリオネア18人が暮らす。いずれも印象深い数字だが、トップ2の米都市との格差は明白だ。
4位も昨年と同じシンガポールで、HNWは東京より少ない24万2400人ながら、センティミリオネアは333人、ビリオネアは30人と、ともに東京を上回る。東京の富裕層の数が安定している一方、シンガポールはこの10年間でHNWが62%増加し、著しい成長を遂げている。
5位は再び米国に戻り、2万2600人のHNWを擁するロサンゼルスがロンドンを抜いてトップ5入りを果たした。センティミリオネアは516人、ビリオネアは45人。ロサンゼルスではここ10年間でミリオネアが35%増加しており、ランキングも上昇を続けている。
ヘンリー&パートナーズのユルグ・ステフェン最高経営責任者(CEO)は、2025年のランキングには明らかな傾向がみられると指摘する。投資の自由化とライフスタイルの恩恵が融合している都市が、可動資本をめぐる競争で優位に立っているのだ。
「これらの都市には共通するDNAがある。堅固な法制度、高度な金融インフラ、そして恐らく何より重要なのがグローバルな人材と資本を歓迎する投資移住プログラムだ。最も裕福な都市トップ10のうち7都市は、投資を条件に居住権を認めるプログラムを設けている国にあり、富の集積地に住まいを構えたい起業家や投資家に直通経路を提供している」
最大の敗者はロンドンとモスクワ
「富裕層が住む都市」上位50都市の中でこの10年間にミリオネアの人数が減少したのは、今回6位に転落したロンドン(12%減)と40位のモスクワ(25%減)のみだ。モスクワのHNWは3万人にとどまり、このうちセンティミリオネアは178人、ビリオネアは23人だった。
ロンドンに次ぐ欧州2位の裕福な都市はパリで、居住するミリオネアは16万100人、うちセンティミリオネア227人、ビリオネア22人で総合7位を維持した。香港特別行政区は、シドニーを抜いて8位に浮上。HNWは15万4900人、センティミリオネアは346人、ビリオネアが40人だった。10位はシカゴで、12万7100人のHNWと295人のセンティミリオネア、25人のビリオネアを擁し、中国の北京(昨年から2つ下げて12位)と上海(同3つ下げて14位)を抜いて初のトップ10入りとなった。


