圧倒的にさまざまなデバイス、OSに遍在するGeminiの強み
グーグルのGeminiは、ユーザーがさまざまな経路からアクセスできるAIであるところが大きな特徴だ。例えば、筆者はいまGoogle Pixel 9aでGeminiを日常的に使っているが、呼び出す方法は「OK Google」と話しかけるか、電源ボタンを長押しするか、またはGeminiアプリからも起動できる。
すでに多くの方が利用されていると思うが、今はGmailやGoogleドライブ、Googleドキュメントにスプレッドシートなど、ビジネスシーンでも定番になったGoogle WorkspaceのウェブアプリにもGeminiがビルトインされている。例えば「2024年の5月にGmail宛に届いた請求書の金額をまとめる」ような作業も、アプリの中でGeminiアイコンをタップしてからテキストプロンプトなどで指示を出せばGeminiがすばやくこなす。グーグルが個別のアプリからGeminiにアクセスできる経路を拡大する理由について、グーグルのピチャイ氏は「Geminiに直結するパイプラインがあることで、ビジネスやクリエイティブの生産性を高める効果がある」と説明している。
「Geminiにアプローチできる経路が複数あると、ユーザーを迷わせることにならないのか」という自問自答もグーグルは繰り返してきたという。結果として現在、圧倒的に多種多様なデバイスとOS、アプリケーションからアクセスできることがGeminiの強みになっている。ライバルであるOpen AIのChatGPTには最適化されたハードウェアが今のところない。反対にApple Intelligenceは「AppleのデバイスとOS」に縛られている。
先述したとおり、Google PixelシリーズをはじめとするAndroidスマートフォンは多くの方法でGeminiにアクセスできる。にもかかわらず「Android版Geminiアプリ」も提供されている。ユーザーがアプリをダウンロードすることによってGeminiの存在を意識して、日々アクセスする機会が増える効果をもたらしているようだ。
今後はウェブ検索においてもGeminiアプリとGemini Live、ブラウザのAIモードと従来のGoogle検索が並列に存在することになる。ここでもまたユーザーのユースケースに合わせた最適な検索方法を複数提案するグーグルの戦略が強みとして活きてくるだろう。


