しかし、そこまでドル安が進んでしまうと、誰も米国に多額の現金を貸したがらない。財政赤字を賄うために、世界から借金をすることができなくなるのだ。一方で、貿易赤字は消えてなくなる。貿易赤字の解消のために、関税は必要ない。ドル安がその役割を果たすのだ。だが、その間にインフレ率は跳ね上がることになる。
ここまで説明すれば、米国が金利を高く維持することの謎が解けたはずだ。紙吹雪を降らせ、暴走する政府支出を賄うためにドル高を維持する必要があるのだ。
注意深く聞いてみると、経済界の大物たちが指摘し続けている根本的な問題は、財政赤字の暴走だ。それこそが悪の根源である。政府による過剰支出は核心的な問題であり、他のすべての問題はそこから派生している。
これまでに語ったことを簡潔に整理してみよう。比較的豊かな国々は、通貨レートが異常でない限り、1人当たりのGDPは似通った数字になるはずだ。つまり、今の状況は、世界の通貨のバランスが失われていることを意味している。
さて、私が本稿で述べたいのは、こうした破滅論ではない。この状況を逆手にとって、どうやってお金を儲けられるか、という話だ。では、金を買えばいいだろう、という破滅論者が良く言うセリフを言いたい訳でもない。米国の証券取引所に上場している日本の大企業のADRを買うのだ。
日本のADRを買うのは、逆張りの投資に部類する。そこまで業績が悪くないのにも関わらず、米国に上場している低PER、高配当の日本の大企業はたくさんあるのだ。
つまり結論は、もしあなたがドル建ての資産を持っているなら、日本の大企業のADRをポートフォリオに加えるべきである、ということだ。もちろん、ヘッジファンドのようなクレイジーな遊びはいろいろあるだろうが、私にとっては、FX取引、あるいはそれに準じる類のものは、くだらない遊びのようなものだ。一方で、安値で放置されている日本の大企業は、堅実な投資対象だ。ここまで述べてもまだ確信が持てないのであれば、ウォーレン・バフェットを見てみれば良い。彼は伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の10%を保有している。
というわけで、ルートは違えど、私はオマハの賢人と同じ結論に達した。
いずれにせよ、この記事における私の意見を信じようと信じまいと、現代における最高の投資家が、私たちのために用意したすばらしい投資先があるのだ。
古い格言にこうある。
「市場は、あなたが支払能力を維持できる期間よりも長く、非合理的な状態を維持する可能性がある」
その格言はドル相場にも当てはまるだろう。配当金をしっかりと支払う、日本の優良企業をポートフォリオに追加することは、分散投資にもつながる良い方法である。また、それによりドルの暴落という、非常に特殊で憂慮すべきリスクに対する保険にもなるのだから、非常に魅力的な投資だ。
何が気に入らないというのだろうか?


