2025.06.01 14:15

バリ島のマイクロリゾート 3人の若手投資家が実現した「感情に響く時空間」

バリ島の東部・シデメンのリゾート「NUMA(ヌマ)」

「良い人材の獲得とチーム編成に、多くの時間を費やしています。マネジャーとは毎日、各スタッフとは週に一度対話しています。さらに月に一度は、外部のビジネスコーチを招聘し、ビジョンや価値観の浸透を図っています。NUMAで働くことで幸せになって欲しいので、給与水準も高い。どうすれば彼らがいつも笑顔でいられるかを常に考えています。NUMAは“家族”ですから」

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オープン直後にマネージャーが退職を申し出た時は、3時間の話し合いの末に引き止めに成功した。今ではオーナーの右腕として活躍している。

また少数先鋭のNUMAでは、施術師がハウスキーピングを担当することもある。勤務時間を効率的に配分して複数分野を担当するなど、互いに助け合うことがカルチャーになっている。

若手経営者らしく効率を重視しつつも、スタッフ一人ひとりの幸せや働きやすさに真摯に向き合う姿勢が、今どきの経営スタイルを体現している。

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マイクロリゾートの経営状況は?

果たして3棟だけで経営が成り立つのか。聞くと、「NUMAへの投資額は、50万ユーロを超える大きなものでした。しかし高い稼働率、慎重なコスト管理、明確な市場ポジショニングが功を奏し、開業から2年以内に完全に収益化できる見込み」だという。

宿泊以外にも棚田トレッキングやヨガセッション、火山ツアー、カップルマッサージなど、五感で楽しむアクティビティを多数用意。レストランでは、食文化を大切にするイタリア人オーナーの誇りを込め、自家製のパンやアイスクリーム、チョコレートとともに、ここでしかできない食体験を提供している。

地元のオーガニック食材を使った食やカトラリーもセンスの良さが光る
地元のオーガニック食材を使った食やカトラリーもセンスの良さが光る

NUMAを訪れるのはハネムーナーなど、大切なパートナーと忘れられない思い出を作りたいと望むカップルが多い。バリの喧騒から離れて、静かに過ごそうという家族連れも一定数いる。

「SNSでの強い発信力を持つインフルエンサーも多いですが、VIPという発想はありません。どのゲストも私たちにとっては同じ。NUMAを選んでくれた全ての人を大切にしています」とアルベルトは力を込める。

3人組はこの先、新たに2件のリゾートをバリに建設予定。将来的にはギリシャやモルディブへの進出も視野に入れている。レストランやビーチクラブのような業態も構想にある。

「将来『あのクレイジーなプロジェクトを世界中でやっているやつら』と呼ばれるようになりたい。それくらいの唯一無二の体験を、世界中に広めていきたい」とアルベルト。

NUMAは今、単なるブティックリゾートではなく「次世代型ホスピタリティの象徴」として、新しいラグジュアリーの価値を問いかけている。

文=山田理恵

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