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2025.05.22 09:30

AIを用いたバイオ企業「Somite AI」が68億円調達、味の素やOpenAI幹部らが出資

Shutterstock.com

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人工知能(AI)を活用したバイオテクノロジーのスタートアップ企業Somite AI(ソウマイトAI)は5月13日、シリーズAラウンドで約4700万ドル(約68億円。1ドル=145円換算)を調達し、累計調達額が約6000万ドル(約87億円)に達したと発表した。

このラウンドは、コースラベンチャーズの主導によるもので、マーク・ザッカーバーグ夫妻が立ち上げたChan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)、味の素CVCのAjinomoto Group Ventures(味の素グループ・ベンチャーズ)らに加えて、OpenAIのアプリケーション部門新CEOに就任したフィジー・シモがエンジェル投資家として参加した。

「幹細胞バイオロジー分野のOpenAI」を名乗るソウマイトAIは、細胞治療用ヒト組織をAIを用いて生成し、多くの人々の生活を改善することを目指している。同社は、最先端の幹細胞生物学や医学、遺伝学、工学、統計学、コンピューターサイエンス、機械学習の技術を融合して、それを実現しようとしている。

ソウマイトAIは、「DeltaStem(デルタステム)」と呼ばれる基盤モデルを用いて、あらゆるヒト細胞の生成方法を革新し、1型糖尿病などの代謝疾患や整形外科的疾患、筋疾患、血液疾患など、広範な疾患に対処しようとしている。

マサチューセッツ州ボストンに本社を置く同社は、ハーバード大学医学部やマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者を含むチームによって2023年に設立された。ソウマイトAIの共同創業者でCEOのミハ・ブレイクストーンは、「あらゆる種類のヒト細胞をつくれるようになれば、病気にかかったり、損傷を受けた組織をすべて置き換えたり再生したりすることが可能になる」と述べている。

「私たちの使命は、AIを用いて幹細胞生物学をリバースエンジニアリングすることだ」と語る彼のチームは、幹細胞の分化や発生の過程をデータで解析し、その背後にある法則やメカニズムを解明しようとしている。

「現在、私たちが安定的に生成できる細胞の種類は約10種類に過ぎないが、ヒト細胞アトラスには5000種類以上の細胞が存在している。特定の細胞を作る方法は、宇宙の原子の数より多いかもしれない」とブレイクストーンは述べている。

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編集=上田裕資

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