シリーズ第8作目となる「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」が、ついに公開された。
当初この作品は「ミッション:インポッシブル/デッド・レコニング PART TWO」というタイトルでインフォメーションされていたが、その後サブタイトルから「PART TWO」が削除され、「デッド」に代わって「ファイナル」が加わった(原題は「Mission: Impossible – Dead Reckoning Part Two」から「Mission: Impossible – The Final Reckoning」に)。
新たに「ファイナル」という言葉が冠せられたために、この作品がシリーズの「最終作」になるのではないかとも噂されていた。これで本当にピリオドが打たれるのかどうかはさて置き、この作品がこれまでの7作品を俯瞰しながら、それらを「統合」する意図でつくられていることだけは確かだろう。
それは作品の冒頭からも窺える。なにせイーサン・ハントへのいつもの「指令」はアメリカ大統領自身からであり、過去のハントの活躍を列挙しながら(過去の映像も流れる)、新たなミッションを依頼するからだ。ここでまず、この作品がシリーズの集大成であることがさりげなく知らされる。
始まりはテレビドラマシリーズ
「ミッション:インポッシブル」シリーズの第1作は、約30年前の1996年に公開された。日本では「スパイ大作戦」(原題「Mission: Impossible」)というタイトルで放送されていたアメリカのテレビドラマシリーズをリブートするというかたちで製作された。
「スパイ大作戦」では冒頭、テープレコーダーなどでミッションが伝えられ、<君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する>という決まり文句が毎回流れるのを、覚えている人も多いのではないだろうか。
映画シリーズの第1作目となる「ミッション:インポッシブル」(ブライアン・デ・パルマ監督)は、主人公イーサン・ハントを演じるトム・クルーズが初めてプロデュースを手がけた作品でもあり、彼が自ら設立した映画製作会社「クルーズ/ワグナープロダクションズ」が初めて世に送り出した作品でもあった。
第8作目を数えるいまでこそ、トム・クルーズが手がけるのにふさわしい人気シリーズとはなっているが、最初は「時代遅れのテレビドラマをどうしていまさら」と周囲の反応はいまひとつだったという。それを「アイデアがある」として、トムが強く企画を推し進めたかたちだったのだ。まさに先見の明があったと言ってもいいかもしれない。
そこからほぼ4年おきくらいのペースで、このシリーズは製作され続けてきた。第1作のブライアン・デ・パルマに始まり、以下ジョン・ウー(「M:I-2」2000年)、J・J・エイブラムス(「M:i:III」2006年)、ブラッド・バード(「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」2011年)と、第4作目まで名だたる監督がメガホンを取ってきた。



