パルミジャーニ・フルリエでは、こういった個性を“プライベート・ラグジュアリー”と呼んでいる。自分の感性で時計を選び、さりげなく腕元を飾る。そんな小さなこだわりを楽しむ時計愛好家が、日本にはたくさんいるのだ。
「我々の時計というのは、他人から認めてもらうためにつけるものではなく、自分のために存在するものである。我々はメインストリームのブランドになることを求めているのではありません。あくまでもユーザーに寄り添う。それが我々にとって重要なことであり、すべてのコレクションに反映されている個性なのです」
そんな美意識が表現されたのが、2025年の新作ウォッチたち。色彩や素材、そして何よりも複雑機構のシンプル化によって、新しい魅力を引き出している。
「もっとも革新的なモデルとなるのは、『トリック パーペチュアルカレンダー』でしょう。永久カレンダー機構は表示すべき情報も多いのですが、実際にユーザーが時刻を知りたいときは、最初に目に入るべき情報ではありません。だからこそ複雑な表示の要素をできるだけシンプルにまとめ、曜日と日付、そして月と閏年の表示をすべて4時と8時位置のカウンターに集約し、ピュアな表現にしました」
三大複雑機構のひとつである永久カレンダーは、複雑なダイヤル表現こそが魅力でもあり、遠目からでもその存在を認識できるほど華やかである。しかしパルミジャーニ・フルリエというフィルターを通すと、これほどまでにエレガントで、美しくなるのだ。しかも精密なハンドグレイン仕上げのギョーシェ彫りでダイヤルの存在が引き立ち、上質な個性をつくっている。遠目で見ればシンプルな二針モデルだが、実はハイ・コンプリケーションという二面性に引かれる人は多いだろう。
こういったアイデアは、トップダウンでは生まれないともいう。
「時計ビジネスの醍醐味。それはチームと一緒に組んで仕事をすることにあります。CEOという立場は、ともするとトップダウンになりがちですが、パルミジャーニ・フルリエの場合、指示に対してどんどん新しいアイデアが返ってくる。私はオーケストラの指揮者のような役目でいたい。高い能力を持つ人々が役割を果たせるように、一貫性をもつのが私の役割なのです」
躍進する企業には、一貫性のあるメッセージがある。パルミジャーニ・フルリエも同様なのだ。
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グイド・テレーニ◎パルミジャーニ・フルリエCEO。1969年、イタリア生まれ。ルイージ・ボッコーニ大学で経済学を学んだのち、ダノングループに入社。2000年にスイスへ移住し、ブルガリグループのウォッチメイキングディビジョンへ入社。同社を本格ウォッチメーカーへと躍進させた。2021年1月より現職。


