経営・戦略

2025.05.21 11:30

「5年後もテスラのCEOであり続ける」、イーロン・マスクが宣言

2025年5月14日、カタールのドーハで国賓晩餐会に出席したイーロン・マスク。(Photo by Win McNamee/Getty Images)

2025年5月14日、カタールのドーハで国賓晩餐会に出席したイーロン・マスク。(Photo by Win McNamee/Getty Images)

イーロン・マスクは5月20日、カタール経済フォーラムにリモートで参加し、「今から5年後もテスラをCEOとして率いる意向だ」と述べて、政治献金を大幅に減らすつもりだと発言した。この発言は、テスラの取締役会が後任CEOを探しているとの報道をマスクが否定したことに続くものとなる。

今から5年後もテスラのCEOであり続けているかと問われたマスクは、「もちろんそうだ。疑う余地はまったくない」と回答した。

マスクは、CEOの地位にとどまりたい理由を「アクティビスト投資家によって追い出されないよう、会社に対する十分な議決権を持ちたいからだ」と話し、「金銭的な問題ではなく、会社の将来に対する合理的なコントロールの問題だ」と語った。

彼のこの発言は、今月初めの米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道に続くものだ。同紙は、投資家がマスクの政治への関与に不満を募らせる中で、テスラの取締役会が後任CEO探しを開始したと伝えていた。これに対しマスクは、この記事が「意図的に虚偽の情報を広めようとしている」と非難した。

テスラの取締役会会長ロビン・デンホルムも、この記事が「まったくの誤り」だと否定し、WSJに対してその旨を事前に伝えていたと主張した。テスラの株価は、20日に一時約3%高を記録した。同社の株価は、年初来では約9%の下落となっている。

トランプ大統領の選挙キャンペーンに2億ドル(約290億円。1ドル=145円換算)以上を献金したマスクは、今後の政治献金を「大幅に減らす」と述べて、「もう十分やったと思う」と発言した。さらに、「今後は政治献金をする理由があればやるが、現時点では理由が見当たらない」と語った。

OpenAIとの訴訟は継続へ

マスクはまた、OpenAIに対する訴訟を継続する意向も明かし、同社の社名を考案したのが自身であることや、自身が最初の資金として5000万ドル(72億5000万円)を提供したことを主張した。マスクは、OpenAIのCEOのサム・アルトマンと共同創業者グレッグ・ブロックマンらが、「個人の利益」のためにAIを開発しており、会社設立時の契約に違反したとして昨年8月に訴訟を再開した。

これに対しOpenAIは、同社の使命が「人類全体に恩恵をもたらすAIの実現」であると反論し、マスクも営利企業の設立が必要であることを当初理解していたと主張している。

今後のテスラにおける、マスクのポジションに関する懸念は、彼のトランプ政権への関与から生じていた。ウェドブッシュ証券のダン・アイブスは、3月のレポートで、マスクが政府効率省(DOGE)への関与を深めたことが、テスラを政治的シンボルに変貌させ、全米だけでなく海外のテスラ店舗でも抗議活動や破壊行為が相次ぐことにつながったと指摘していた。

アイブスは「マスクは方向転換すべきだ」と主張し、「テスラの将来は、彼がDOGEから身を引くことにかかっている」と強調していた。

マスクは先月の第1四半期決算の発表の後に、5月以降はテスラに「より多くの時間を割く」と投資家に説明したが、政府の役職から退くとは明言しておらず、「大統領の希望がある限り、週に1〜2日は政府の業務に関与する」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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