アジア

2025.05.21 09:00

印パ衝突でも「電子戦」が重要な役割 中国のシステム、仏製戦闘機撃墜に寄与か

2023年3月23日、パキスタン・デー・パレードで編隊飛行するパキスタン空軍の中国製J-10C戦闘機(rehan waheed/Shutterstock)

パキスタン側も即座に対応し、自軍の電子戦システムを前方の陣地に移動させた。パキスタン軍が運用する電子戦システムの多くは中国から供給されており、それにはパッシブ型探知システム「DWL-002」などが含まれる。このシステムは従来のレーダーと異なり、空中の脅威が発する電子シグネチャーを捕捉することで検知・追跡を行う。

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パキスタン軍はインド軍のドローンやミサイルを妨害するために、商用グレードの中国製GPSジャマーも複数投入した。パキスタン空軍の中国製J-10C(殲-10C)戦闘機も高度な電子戦システムを搭載しており、4月29日から30日にかけての夜、国境付近を飛行していたインド空軍のラファールの制御システムを妨害したと報じられている。

電子戦システムを投入する戦略上の目的

ある国がこのように自国の電子戦能力を「披露」するのは一見奇妙に思えるかもしれないが、これは現代の軍事ドクトリンにのっとった行動といえるだろう。

長年、対立関係にあるインド、パキスタン両国の軍隊は、航空機やミサイルなどに対処するために多重の防空網を構築している。この防空網には通常、電子戦システムも組み込まれ、飛来する航空機やミサイルを探知・妨害するために使用される。

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一方で、電子戦はこうした多重防御を突破するための主要な方法にもなっている。電子戦システムは防空網を支えるレーダーシステムを妨害でき、妨害されたレーダーは空爆やミサイル攻撃の目標となり、破壊される。そうして敵の防空システムをいったん無力化すれば、自軍側が一時的に航空優勢を確保し、抵抗を最小限に抑えた状態で空爆やミサイル攻撃をさらに実施できる。

電子戦システムは通信妨害を通じて、敵による対応の調整や警告の発出、反撃の開始を困難にすることもできる。さらに、電子戦システムの戦闘配備には心理的な効果もある。電子戦システムは高価で通常は秘匿されているので、それを目に見える形で配備すること自体、大規模な攻撃が差し迫っているというシグナルになる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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