働き方

2025.05.23 12:30

「リモートの自由を返して」リベンジ退職が出社義務化で増加 企業が今とるべき3つの戦略

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筆者は昨年12月、「リベンジ退職の数は2025年にかつてなく多くなる」という専門家の予測を紹介する記事を書き、実際にそうなっている。今、企業がこれまでよりも頻繁にオフィスへ出社することを義務付けるRTO(Return to Office=オフィス出社)を進めるにつれ、従業員は受動的な攻撃方法で反抗する傾向が強まっている。

オフィス出社義務へのリベンジが増えているわけ

筆者が話を聞いた専門家は正しかった。リベンジ退職は増加傾向にある。実際、いくつかの情報源によると、リベンジ退職は2025年の仕事に関する最も広く見られるトレンドであり、労働者の28%が今年リベンジ退職すると予想している。そして、労働者は黙って辞めているわけではない。約束の不履行やRTOの義務化、有害な職場文化などに対して声高に抗議し、これ見よがしに社を去っている。RTOへのリベンジの例としては、遅刻や社外での昼食、早退、オフィスで提供されているスナックの持ち帰りなどがある。

では、こうした傾向がみられるのはなぜなのだろうか。米人事コンサルのHogan Assessments(ホガン・アセスメンツ)の専門家によると、カギは従業員と職場の深い断絶にあるという。同社の最高科学責任者であり、ポッドキャスト「ザ・サイエンス・オブ・パーソナリティ」の共同ホストでもあるライン・シャーマン博士は「リベンジ退職は日々の仕事に対する不満を示しているだけではない。コミュニケーションの断絶を物語っており、従業員の願望を企業文化と一致させることに失敗していることを表している」と語る。「明るい材料もある。リベンジ退職は防ぐことができる」。

多くの企業は従業員に付与しているものを取り上げることを検討するかもしれない。だが、HRプラットフォームを運営するHiBob(ハイボブ)の人材・文化担当ディレクターであるアニー・ローゼンクランズなど、複数の企業幹部はフレキシブルな働き方や適切な従業員評価について労働者が抱えているかもしれない不満について、雇用主は考えを巡らせるべきだとみている。

「RTOへのリベンジの兆候としては、オフィスで提供されているスナックや消耗品を持ち帰る、遅刻や早退をする、昼食やエクササイズのためにオフィスを離れる、といったものが考えられる」とローゼンクランズは指摘する。「労働者は柔軟性の欠如が見過ごされていたり、過小評価されていると感じているために、経営陣に対抗しようと勤務中にオフィスを離れている」

ローゼンクランズは柔軟な働き方がなぜ重要なのか、そしてオフィス出社が有意義だと感じられるようにするためのヒントを示してくれた。「オフィスに出社するよう締め付けがこれまで以上に厳しくなり、多くの企業がかつて従業員に約束していた柔軟性を放棄するようになったため、RTOへのリベンジが常態化している」とローゼンクランズは解説する。「従業員側は、オフィス出社の義務化が同僚と有意義につながることになっていないと感じている」

ローゼンクランズは、職場で同僚らとのつながりを感じている従業員はわずか31%という最近の調査結果に言及した。ローゼンクランズによると、オフィス出社が義務化されて従業員らは憤慨し、出社を疑問視するようになっており、会社が従業員の士気や働き方の向上を優先していないと感じている。

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翻訳=溝口慈子

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