RTOへのリベンジを防ぐための戦略
「柔軟性はワークライフバランスの鍵であり、多くの従業員がそうした対応を必要とし、期待している」とローゼンクランズは主張する。「従業員の士気と生産性の両方を重視する包括的な職場を作るには、柔軟性が不可欠だ。スナックを持ち帰ったり早退したりすることは、些細なことのようにみえるかもしれないが、従業員が会社に対して愛着を持っていないことの兆候かもしれない」と語る。
従業員のニーズを真に理解するために、経営陣は匿名アンケートや1対1のミーティング、あるいは経営陣と従業員の直接対話などを通じて従業員からのフィードバックを求めるべきだとローゼンクランズは指摘する。「フィードバックの結果は、起こり得る反発や従業員の憤りを避けるために企業がより働きやすい職場を構築することに役立ち、結果として企業文化が改善する」とも話す。
Hogan Assessmentsのシャーマンは、優秀な人材が定着している企業には、従業員が会社に貢献したいと感じるよう積極的なアプローチを取っているという共通点があると強調する。「目先の解決に走るのではなく、従業員が退職を表明する必要性を感じる前に核心的な問題に対処している」とシャーマンは言う。優秀な人材を維持し、コストのかかる離職を防ぐために経営陣がとれる3つの重要な戦略を、シャーマンは挙げている。
1. 従業員が本当に求めているものを理解する
シャーマンによると、リモートワークの柔軟性やワークライフバランス、成長機会、従業員のウェルビーイングはもはや企業が特別に付与するものではなく、従業員にとっては譲れないものだという。「これらが満たされないとき、従業員は単に会社に貢献しようという気持ちを失くすだけでなく、同僚を混乱させ、職場のダイナミクスを揺るがすようなインパクトのある離職をする」
企業が先手を打つには、方針を透明性のあるものにして真の柔軟性を提供し、従業員が意見を言えるチャンネルを確立しなければならないとシャーマンは主張する。徐々に変わる従業員のニーズに耳を傾けて適応する雇用主は、定着率を高めるだけでなく、企業のブランドを強化することにもなると指摘している。
2. 従業員の定着率を左右するのはリーダーシップ
「リーダーシップが弱いと従業員はリベンジ退職を選択しやすくなる。有害あるいは一切関与しない管理スタイルは従業員から士気を奪い、燃え尽き症候群(バーンアウト)を増長させ、人材を流出させる」とシャーマンは言う。「上司にサポートされていない、あるいは過小評価されていると感じる従業員は退職する可能性が著しく高く、不満をはっきり示す。実際、調査会社ギャラップの最近のレポートでは、マネジャーが愛社精神の要であり、従業員の愛社精神の7割はマネジャーに起因していると強調されている」
シャーマンは冷静で計画的、共感的なマネジャーに率いられたチームの愛社精神は3倍高いとの事実を挙げ、リーダーシップ育成への投資は有益であるだけでなく、不可欠だと指摘する。


