経済・社会

2025.05.21 10:15

トランプ関税政策、日本は豊臣秀吉型、徳川家康型のどちらで行くべきか

Bendix M / Shutterstock.com

ただ、経済専門家や企業経営トップらからは、関税政策の影響で米国経済が鈍化するという見通しが支配的だ。米中間の関税率引き下げを巡っても、中国の構造改革や過剰輸出といった根本的な問題を解決できていないという手厳しい指摘が飛び交っている。

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こうしたなか、報道各社は、赤沢亮正経済再生担当相が23日から訪米し、3回目の日米交渉に臨むと伝えた。日本側は相互関税に加え、自動車と自動車部品、鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税の撤廃も求めていくとみられる。トランプ政権は現時点で、唯一合意したのは英国との協議だけだ。渡辺氏は米英合意について「相互関税の基本税率10%は維持したものの、鉄鋼とアルミニウムへの追加関税は撤廃されました。交渉不可と米政権が語っていたと言われる両品目が交渉可能であることが判明した点は、日本にとって朗報だと思います」と語る。「自動車は英国から米国への年間10万台輸出を上限に低率関税としました。日本から米国に輸出する自動車は年間130万台から140万台なので、日本側には更なる交渉努力が求められます」(同氏)。日本は、米国からの液化天然ガス(LNG)の輸入拡大や防衛関連分野での負担増、世界最大の対米投資額の更なる増額などを通じて合意を目指すつもりなのかもしれない。

ただ、トランプ氏の関税政策は現状、後退に次ぐ後退を迫られているとも言える。今後、米国内での景気悪化や支持率低下の可能性も付きまとう。ベッセント氏が語ったように、ディールにも粗雑な側面がつきまとう。石破茂首相は、7月初旬を想定する参院選の公示前後での日米合意を目指す考えだとも報じられている。同時に、石破氏は2日には記者団に「国益を譲ってまで早く妥結すればいいものではない」と語っている。

90日間の停止期間を意識し、豊臣秀吉ばりに「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」で交渉に臨むのか、トランプ政権の苦しい現状を見定めて、徳川家康のように「鳴かぬなら鳴くまで待とう」となるのか。ここが思案のしどころかもしれない。

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文=牧野愛博

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