人手不足は一朝一夕では解決しないようだ。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」によると、慢性化した人手不足は、深刻な「高止まり」状態が続いている。
2025年4月時点における、正社員の人手不足を感じている企業は51.4%だった。例年、4月は新入社員などによって人手不足の割合が緩和される傾向にあるが、今年も同様の動きは見せたものの、落ち幅は少なく5割を超える結果となった。これは2023年の4月と同水準で調査開始した2006年5月以降、過去最高である。また、非正社員の人手不足の割合も30.0%と2023年から高止まりしている。

正社員の人手不足割合を業種別にみると、ソフトウェア開発や情報処理サービスなどを含む「情報サービス」が69.9%で最も高かった。2024年度のソフトウェア業者の倒産は過去10年で最多を記録しており、実際に人手不足は事業継続に影響を及ぼしているかもしれない。以下は「メンテナンス・警備・検査」が69.4%、「建設」が68.9%と続いている。

2024年問題から1年が経過したが、正社員の人手不足を感じている企業は、建設業で68.9%、道路貨物運送業で72.2%となり全業種(51.4%)を大きく上回っている。「仕事はあるが、人手不足で生産性が上がらない」「仕事はあるが単価が上がらず、人でも足りず利益も減っている」との声が挙がっており、案件はあっても人手不足で回らない企業が多いようだ。

一方、非正社員で最も人手不足だったのが、「飲食店」の65.3%。2023年から徐々に下がっているものの、以前高水準で推移している。逆に「各種商品小売」は年々上がっており、62.5%と客商売の人手不足が深刻だ。
帝国データバンクが今年3月に実施した「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」では、2025年度業績の下振れ材料として「人手不足の深刻化」が39.0%となり、2年連続トップ項目となっている。人手不足倒産件数も2024年度は350件と過去最多を記録。特に建設と物流だけで43.7%も占めており、解消される見通しはたっていない。

人手不足の解消に向けて、生産性の向上が必要だが、物理的にそれだけでは賄えきれない面もあるだろう。いかに人材確保するか、企業存続もかけて今後ますます戦いが続くだろう。
出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」より



