経済

2025.06.01 15:15

「ふるさと納税1兆円時代」にビリオネアたちは? 最高額3億円、返礼品は『9千万円の別荘』

Getty Images(写真はイメージ)

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ふるさと納税と聞けば、多くの人が「お得な返礼品」を連想するだろう。確かに地方の特産品を楽しめる魅力的な制度だが、本来の目的は「地方創生」にある。返礼品競争が過熱する中、制度の原点に立ち返り、地域課題の解決に向けた新たな可能性を切り開く取り組みが注目されている。

10年で10倍規模に成長 その背景とは

ふるさと納税の新しい使い方を提案しているのが、国内最大級のポータルサイト「ふるさとチョイス」だ。2012年、ふるさと納税黎明期からサービスを提供し、全国95%におよぶ1733自治体と契約。実に76万点以上のお礼の品を有する業界の先駆者で、契約自治体数と返礼品数は業界No.1を誇る。

この「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクを2018年に子会社化したのが、「チェンジホールディングス」代表取締役の福留大士社長だ。 

トラストバンク含むグループ傘下11社を率いる福留大士氏
トラストバンク含むグループ傘下19社を率いる福留大士氏

ふるさと納税の2023年度の寄付額は1兆1175億円。2012年度(ふるさとチョイス開設時)には100億円程度だった規模が10倍以上に大きく成長している。2019年度には、ふるさと納税のルール厳格化により一度寄付額が落ち込んだが、コロナ禍で"おうち時間"が増えたことで利用率がさらに向上。また、顧客基盤を有する大手企業のポータルサイト参入によるポイント等のインセンティブ合戦もこの急成長の要因となっている。

トラストバンクは全国の自治体の情報を一元化し、クレジットカード決済を導入して利便性を大幅に向上させた立役者だ。さらに特筆すべきは、返礼品競争ではなく、「地域を元気にする」というふるさと納税の本質に当初より光を当て、ガバメントクラウドファウンディング(GCF)や災害支援といった先進的な取り組みも導入してきた点にある。

最高額は「3億円」、返礼品は「9千万円分の別荘取得チケット」

「ビリオネアが喜ぶのは、どちらかというと返礼品がないようなもの。返礼品そのものよりも、自分の貢献に満足感を得るケースが多い」と福留氏は語る。

高額寄付の心温まる例として、バイオベンチャー「セルソース」創業者の裙本理人氏が故郷・明石市に贈った1500万円の寄付がある。「明石で育ち、剣道部で学んだことが今の自分をつくった」と語る裙本氏。返礼品なしで行った寄付は、教員の働き方改革で危機に瀕する部活動を救うため、地域の専門家が指導する「地域移行」の財源として活用された。

紺綬褒章伝達式にて、明石市丸谷聡子市長(左)と、セルソース創業者裙本理人氏
紺綬褒章伝達式にて、明石市丸谷聡子市長(左)と、セルソース創業者裙本理人氏

「子どもたちに部活動の機会を残したい」という思いから実現した寄付は、その功績から国の紺綬褒章も受章。裙本氏は「ふるさと納税で教育インフラとしての部活動が残ることを嬉しく思う。こういった起業家や経済人の故郷への恩返しが、各地域の未来を明るくしていくはず」と目を輝かせる。実際、トラストバンクにも富裕層の顧客は多く、サイトにもたびたび高額な返礼品が登場し、現在の最高額である「3億円寄付金による9千万円分の別荘取得チケット」なども話題を呼ぶが、数千万単位で返礼品なしで寄付をする人も珍しくない。

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